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アイスも有給も遠慮してきたけれど。


期間限定で発売されているアイス『爽の濃林檎』にハマった。

爽らしいシャリシャリ食感で、味はまるで本物のリンゴのよう。リンゴが好き、濃厚なクリーム系のアイスよりシャーベット系が好きなわたしは、ひと口食べて気に入った。あまり体を冷やしてはならない。けれど、濃林檎の旬を逃すわけにもいかない。食べられるだけ食べよう。

数日後。期間がいつまでなのかわからないからいくつか買いだめておいた方がいいだろうかと思いながらスーパーに向かうと、残りが3つになっていた。ほんの数日前、大量に並んで「新発売!」とめでたそうに売り出されていたアイスが、もう残り3つになっている。これは、この町にわたしのほかにも濃林檎ガチ勢がたくさんいるかもしれない。焦る。

しかし、この時わたしはこのあと濃林檎を買いにやって来る人が「あ…すっからかんだ…」と売り場を見て落ち込む姿を想像してしまい、3つすべてを買い占める気になれず、ひとつだけ買って帰ることにした。謎の、自己満足の遠慮心。でもこの時は、またこれを食べた頃には入荷しているだろうという期待もあった。

そのまた数日後、夫に濃林檎を買ってきてくれと頼んだ。すると、「リンゴ味なんて売ってなかった」と言われる。もしかしてあれは、本当に最後の3つだったのか。翌日スーパーへ向かい、店員さんに「リンゴ味の爽はもうないのですか?」と聞くと、「あれは、期間限定だったので」との回答。期間ってそんなに短かったのか。遠慮などしている場合ではなかったなあ。もう食べられないかもとわかると、一層恋しくなる。

わたしはいつも、何かに遠慮をしている。わたしはいいですよ、どちらでもいいですよ、だめならいいですよ、別にこだわりないので。いつからこうなんだっけ。それは優しさなんかではない。ただアイスを買い占められなかっただけのことなのに、なんだろう急に、有給休暇を取るのも周りに遠慮してしまって人にうまく仕事を頼めなかった会社員時代の自分を思い出すなどしてしまう。推し活の予定があって、勇気を出して有給の申請をずいぶん前からしていたのに、大事な会議が入ると言われて、有給を取り消したりしてたっけ。こんなことを思い出すなんて、疲れているのか?わたしには、休む権利も、アイスを3つ買う自由もあったのにね。今年の目標に、「必要のない遠慮をしない」を追加しよう。

とりあえず明日、別のスーパーにも探しに行ってみようと思う。もし残り3個くらいだったら、ひとりじめしてみてもいいかな。

おわり


(2月9日追記)
本日、地元イチ大きなスーパーのアイス売り場にて、たくさん爽濃林檎を発見し、無事に買い溜めができましたことをご報告いたします。わたしの最寄りのスーパーから消えただけかもしれません。

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