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『北極百貨店のコンシェルジュさん』は愛があふれている

バトンが回ってきて書いたので、noteにも載せておこうと思います。その②。

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#7days #7bookcovers  
1冊目:『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ

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2冊目:『北極百貨店のコンシェルジュさん』西村ツチカ

2017年12月発行、最近の漫画。本屋で平積み、試し読み冊子を見て、即購入。


「私、秋乃が勤めるこの百貨店には、あらゆる動物のお客様がいらっしゃいます。」


この一文から始まる。たくさんの動物が訪れる北極百貨店を舞台に、新人コンシェルジュの秋乃さん(人間)が一生懸命、心を込めた接客をする物語。ちょっとリッチな場所に来るからこそ生まれる、お客様からのリクエスト。それに一生懸命応える秋乃さん。北極百貨店の店員はほとんど人間。でもお客様は全員動物。違和感なく楽しめる。1巻に5話収録。各話にメインとなるお客様動物がいて、それに対応する秋乃さんがどう応えていくか?という1話完結方式。なので読みやすい。


とにかく、絵のタッチがかわいい。動物がかわいい。百貨店にお買い物に来る動物は様々だけれど、(やっぱり百貨店に行くにはおしゃれしなくちゃ!)動物もみんな「おめかし」している。ウキウキお買い物に来る様子もかわいいし、動物らしさを保ちつつ「おめかし」スタイルもばっちり、さらに表情も豊かで、もうとにかくかわいい。「かわいい」ばっかり言ってる。


そして絶滅した動物も出てくる。「なぜ絶滅したのか?」という解説がついているので、そのお客様が北極百貨店にお越しになった理由が見えてくるよう。巻末に記載されている参考文献が13冊もあって、研究に基づく造形と描き方、ストーリー構成をされているのだなぁ、と、ホクホクした。参考文献には「絶滅動物」以外にも「百貨店」「コンシェルジュ」関連もあって、だからこういう突飛な設定なのにしっくり読めるんだなぁと、ほっこりホクホクした。コンシェルジュの在り方にも、動物の造形にも、嘘がないんだろうね(フィクションではありつつも)。


作者の西村ツチカさん、女性と思ったら男性でした。Wikipediaによると、ムーミンの作者トーベ・ヤンソンに影響を受けたそうで、確かにどこか絵本ぽいです。そしてこの漫画、実は現在連載が止まっていて、第二巻が出ておらず…。応援もしたいし、絵も素敵だし、今しがた画集をポチりました。

※期間限定で半額のようです。詳細はこちらのサイトへ。


この漫画、帯のコメントが松本大洋さんに恩田陸さん。豪華…。見開きのページは絵本ぽくて、どこ見ても楽しい。間に挟まるページのデザインも、貴族のお屋敷の壁紙のような素敵デザインで、ほれぼれします。


そして、今回この本を選んだ理由。第5話「寡黙なお客様」、読むたびに泣いちゃうんですね。とりたてて特別な回ってわけじゃない(と思う)んだけど、もう「ああ、もう、よかったね」なんです。優しいんです。ネタバレしたくないから書かないけど。もちろん読んだ感想や反応は人それぞれだと思いますが、私はどうにも泣いてしまいます。何度読んでもぐっときます。


とにかく愛です、愛。

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