見出し画像

実際、空気清浄機は効果があるの?兵庫医科大学の最新研究より。

【参考文献】Effects of the Use of Air Purifier on Indoor Environment and Respiratory System among Healthy Adults

昨今の状況下、みなさんは家に居ることが増えましたか?

仕事がリモートになった方は、特に自宅の滞在時間が増えたのではないでしょうか。

私の本業は、現在リモートではないものの、それでも自宅に居る時間はコロナ流行前より格段に増えています。

個人的には、家に居る時間が増えると、生活空間の細かい部分が気になってきます。ちらかった部屋に長時間居たくないので、暇さえあれば掃除か断舎離をしています。

余談はこれぐらいにしておき…みなさんは、自宅の空気の品質にこだわりがありますでしょうか?

どうせ長く居る空間なら、きれいな空気の中ですごしたくありませんか。

しかし、そもそも自宅の空気の品質は上げられるのでしょうか?

部屋の空気をきれいにするため選択肢として、空気清浄機を置くことが挙げられるかと思います。

最近、兵庫医科大学の研究[文献1]で、空気清浄機により空気をきれいにすることができるのかが調べられました。

具体的には、次のような研究が行われました。

1)32名の参加者をランダムに割り振り「本物の空気清浄機(フィルターあり)」「偽物の空気清浄機(フィルターなし)」をそれぞれ4週間ずつ使用してもらいました。空気清浄機を入れ替える前には、4週間のウォッシュアウト期間を設けました(図1)
2)また、本物および偽物の空気清浄機を置いた室内でそれぞれ次の濃度が測定されました。
・PM2.5(2.5 µm以下の微粒子状物質)
・PM10–2.5(2.5〜10 µmの粗い粒子状物質)
・オゾン
3)参加者の「呼吸器系機能に影響が出るか」も測定されました。

画像1

【結果】
・室内のPM2.5濃度は、偽物の空気清浄機を使用した場合と比較して、本物の空気清浄機を使用した場合に11%減少させた。ただし、有意な差ではなかった。(なお、同居のいない世帯に限っては空気清浄機によりPM2.5の有意な低減効果が見られたが、それでも大きな減少ではなかった
PM10–2.5とオゾンにおいても濃度をかすかに低下させたが、統計的有意性はなかった。
・空気清浄機により参加者の肺機能を有意に改善しなかった。

以上より、空気清浄機は置くことにより、若干空気をきれいにしてくれるかもしれないが、大きく期待してはいけないことがわかります。

人の出入りの多い家族で住んでいる家では、空気清浄機の効果がほとんど見られないようです。ドアの開け閉めで、多少きれいになった空気が外気と入れ替わってしまうためです。

一方、人の出入りの少ない単身世帯の家では多少の空気清浄化が見られたものの、それでも大きな効果ではありませんでした。

これから空気清浄機を買おうと思われていた方は一度購入を検討し直してもよいかと思われます。高価な空気清浄機を買ってもそれほど効果は期待できないでしょう。少なくとも、よくあるセールスコピーの「PM2.5を99.9%カット!」は嘘だと思われます。

なお、本研究の考察にも記載がありましたが、日本の周囲のPM2.5濃度は、毎年減少傾向を示しているようです。その状況を踏まえても、あえてPM2.5を抑えるために空気清浄機を買う必要はないかと思われます。お金に余裕があれば別ですが。

最後に一点、最近空気清浄機を買われた方。また、上記の研究結果を知ってもなお購入されたい方に朗報です。

空気清浄機は、花粉などのアレルギー物質低減には効果がありそうです。

空気清浄機を使用して自宅から花粉を取り除くことができ、アレルギー性鼻炎患者の症状のリスクを軽減した[文献2]という報告があります。

花粉の粒子は、PM2.5と比べるとだいぶ大きいので、空気清浄機のフィルターで吸着することができるようです。

これから空気清浄機を買おうとされている方は、次のことを判断基準で購入するのが無難かと思われます。

・室内の大気汚染物質の清浄化はそこまで期待してはいけない。(単身世帯であれば多少効果がある)
・花粉などのアレルギー物質の低減には効果がある
→室内の花粉などのアレルギー物質だけでも減らしたい場合に購入するのはアリ

当記事は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?