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掛け軸創作の上田さんの作品紹介 第2回目です。

〜掛け軸創作の上田さんの作品紹介 第2回目〜

ハイカラ美術館の絵画複製から掛け軸を創作されている上田さん。
新作のお写真と文章を送ってただきました。感激です!

前回の古邨の”踊る狐”の二作品作に続き、今回も古邨を題材に
更に趣向を凝らした、美しい作品です。
可愛さと上品さが作品に表れていて、とっても素敵!!


私は掛け軸創作は ”難しくて高価で職人の仕事” そう思っていましたが、
上田さんの創作を見せていただいて、掛け軸のイメージがガラリと変わりました。

上田さんより文章と写真を提供していただきました。
作品への想いやストーリーをとても興味深く読ませていただきました。

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以下は上田さんの文~

私はハイカラ美術館の「小原古邨」の作品と出会って、掛け軸に仕立てて楽しんでいる者です。今回は二回目の投稿で「提灯と猫」と「月に雁」一回目は「踊る狐」です。
ハイカラblog 2023/3/9をご覧下さい。


「提灯と猫」はいたずら盛りの子猫とやんちゃな鼠が隠れんぼをしているところをイメージしました。

裂ですが、おきゃんな町娘がこんな着物を着ていそうです。で、私題はトムとジェリーをもじって「タマと次郎」です(古邨さん、遊んでごめんなさい)。カジュアルでリビング掛けができる作品になったと思います。
 

掛け軸の作り手目線で言うと -
観た人がまず遠目で裂の色や模様に惹きつけられて、近寄って本紙(絵)をじっくり細部まで観てもらえれば成功です。あくまで主役は本紙です。
猫の毛並み、眼、爪やヒゲまでがシャープにプリントされていて、鼠を捕らえた瞬間が伝わってきます(ハイカラ美術館のクオリティの高さですね)。
 

では一句、

「タマと次郎 火花を散らして 火の用心」


「月に雁」は2枚の絵を段違いに配置しました。
月をバックに宵の空を悠々と飛行する大人の雁たちを見て、
いつか自分もあんなふうに飛んでみたいと見上げている場面を想像しました。

私題は「One Day I’ll Fly Away」です。
この作品を構想している時にたまたま聴いた曲のタイトルです。
(Osaka Jazz Channel(YouTube)でのトリオ演奏です。
穏やかでしっとりしたピアノが、時に切なく、時に希望を感じさせる
私のイチオシです。

裂は泥大島紬のはぎれを使いました。
風を感じさせる織り模様に飛行する雁たちをのせるように配置しました。


両端の銀色の筋の入れ方ですが、裂の両端を9㎜一旦切り離しています。
そして銀色の細い帯を下にして上から切り離した裂を1.5㎜の間を開けて貼っていきます。
そうすることで銀色の筋入ってように見えます。
上から下まで真っ直ぐに均等に1.5㎜にするのは結構難しいのですが、
全体をスマートに引き締められたらと思います。
 

本紙の雁ですが細部まで線も色もクッキリしていて、
毛並みや羽の艶まで感じられてとても美しいです。
また、羽を広げて風にのって悠々と飛行していている姿がとても優雅です。
 

では一句、

「宵の空 仰ぎて月に 誓う吾」

上田さん、ありがとうございました。次の作品も楽しみにしています!
                    ーキョウコ

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