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自分の言葉で好きなものを語るということ

自分の言葉で好きなものを語れる人は、意外とすくない。

小1の息子は、平日深夜にNHKで放送している番組「2355」を火曜日だけを録画している。

元々朝版の「0655」を家族で観ていて、その延長で息子だけ深夜版も楽しむようになった。

前は月曜から金曜までびっしり録画していたが、なぜ火曜だけになったのだろう。
私たち親が録画が溜まるのを嫌がるくらいでは、息子はへこたれない。

聞いてみると、「火曜は『ヨルガヤ55』があるから」らしい。

ヨルガヤ55というのは、お笑い芸人の阿佐ヶ谷姉妹がピンクの羊のぬいぐるみになって他愛もないおしゃべりをするコーナーだ。
昨年ヨルガヤ55だけ4夜連続で放送されたのを、息子は自ら録画して繰り返し観ていた。

阿佐ヶ谷姉妹は私も好きなほうだ。
女優の木村多江さんが姉の江里子さんを演じたドラマを観ていた。
彼女たちは所帯じみているけれど、どこかほかの女芸人より上品なのだ。

それにしたって、わざわざ5分番組のちょっとしたコーナーを楽しむ息子は明らかに私より彼女たちのファンである。

「阿佐ヶ谷姉妹好きなの?」
「うん」

かつて一発屋の「永野」を気に入っていた息子だ。それ相応の理由があるのだろう。
なぜ好きなのか、さらに質問を重ねてみた。

「素朴だから」

その辺りは私と似た雰囲気を好んでいるようだ。
では、単に2人がおしゃべりをしているように見える『ヨルガヤ55』は何が面白いのだろう。

「なんか、道徳の授業に似ているから」

その発想はなかった。
だけど確かに、阿佐ヶ谷姉妹の会話は日常の隠れた発見をさりげなく口にする。
言われてみると道徳に近い。

「すごい、ちゃんと好きな理由を言葉にできてるじゃん!」
息子の考え方にすっかり感心した私は、興奮気味に褒めた。
「自分の言葉で」好きな理由を表せていることに驚いたのだ。

世に出回る文章を読んでいると、どうしても多用される言葉が目につく。
自分で意味を咀嚼しないまま、借り物の言葉を連ねている文章のなんと多いことか。

息子には、これからも自分の感性と言葉を大事にして欲しい。
そのためにも、私も親としてもっと息子との対話を大事にしなければと反省した。


※ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございます。

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