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「バカ塗りの娘」感想 自分の幸せを貫くまでの物語


こんにちは。
映画「バカ塗りの娘」を見て、顔の半分が涙でびしゃびしゃになるくらい号泣したので真面目に感想を書きました。ネタバレ注意です。

(上記の画像だと読みにくい方のために、こちらにも同じ文章を載せます)
全編を通して漆を削り、削る音が響くような静かな映画で、大きなどんでん返しもない素直な映画だ。工芸に向き合うひたむきな姿が、バラバラになっていた家族を繋いでいく。
その大筋以上に印象に残ったのは「自分らしくいられる場所を探す」美也子の兄とパートナーの姿だった。男性同士のカップルである彼らは、自分を偽らずにいられる場所を求めてロンドンに移り住むことを決める。「自分らしくいられるならどこだっていいんだ」と言う兄のパートナーを、美也子は黙って見つめる。
世の中が普通と呼ぶ「会社勤めをして、男女で結婚し、子育てをして生きる」こと。そこから外れたところに自分の幸せがある人は、普通と戦うか離れるかするしかないのだろうか。
津軽塗をして生きたいと思う美也子もまた、普通から外れたところに自分の幸せがある人だ。映画中盤で現れる美也子の母は「後悔してからでは遅い」と美也子に普通になる事を求める。それでも美也子は津軽塗に挑戦する。作品を完成させた美也子の表情はどこか晴れやかだ。
たとえ普通から外れても自分の幸せをつらぬくことが大切なのだと、ロンドンから一時帰国した兄とパートナーと共に笑い合う美也子を見て感じた。
同時に、歳を重ねると美也子の父や母に共感できるように変わっていくだろうという予感もある。一生かけて何度も観たい映画だ。


創作をするのが好きな人、創作で生きていきたいと一度でも思ったことがある人はかなり刺さる内容だと思います。また、漆に少しでも興味がある人は漆の作品ができていく過程を丁寧に見せてもらえるのでおすすめです。映画館の大画面で職人の技をじっくり見られる機会は貴重だとしみじみ感じました。

あと、Kis-My-Ft2のファンの方もぜひ見てください!!
街の花屋さんをしているしっかり者さわやか青年宮田俊哉が輝いています。キーになる重要な役で、憂いのある表情も大変美しかったです。
私は宮田くんが出演していることがきっかけで映画館に行ったのですが、宮田くんの輝き共々内容が刺さったので…。
工芸に興味がない方でも、物語や東北の景色、役者さんの演技の深みにより十分楽しんでいただけると思います。

上映館情報は「バカ塗りの娘」公式ホームページに記載してありますので、ぜひお近くの上映館でお楽しみください。

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