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米国経由~本州往復・空の旅/連載エッセイ vol.72

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.74(2013年・第1号)」掲載(原文ママ)。

この通信の発行スケジュール上、毎度の事ながら今更なタイミングになってしまい恐縮であるが、親愛なる読者の皆様、あけましておめでとうござます。
今年も本コーナーおよび当組合を宜しくお願い致します。

さて今回は、若干の時期外れとなる新年のご挨拶同様、年始の恒例となっている『アメリカ研修』ネタの登場である。

…といっても、真面目なレポートは表面に十分に掲載されている(ハズ!?)ので、コチラはこぼれ話を中心に。

この研修目的は、大きく2つ。

1つはラスベガスにて開催される世界最大級のカイロプラクティック関連イベント・『パーカーセミナー』への参加。

もう1つは、ロスアンゼルスのUCLAにおける『解剖実習』。

ただ、限られた日程である為、岩手からの参加者の場合、私を含む『カイロプラクター組』は前者を中心に、それ以外の『セラピスト組』は後者を中心としたスケジュールとなった。

さて、ラスベガスと聞くと、ついつい『カジノ』をはじめとする『エンターテインメントの街』と連想しがちで、それ故に『研修といいながら実は遊びなのでは…??』といった『誤解』を生じやすいのであるが、改めて説明すると、ラスベガスは今や『コンベンション(大規模会議)の街』なのである。

それには主に以下の4つの理由からなり、1つめは全米のどこからでも空路アクセスが良く、空港と街の中心部が近い事、2つめは最大10万人規模収容の会場が複数ある事、3つめは周辺地域を含めると15万室を超える宿泊施設がある事、そして最後の4つめが、『アフターコンベンション』が充実している事…

つまり、会議終了後も日付が変わる深夜まで、グルメやショッピング、カジノやショーなどのエンタメを楽しむ事ができるからなのである!!

そんな訳で、我々もビジネス目的で彼の地を訪れる他の方々同様、いつもながら『アフターコンベンション』も満喫!! 

特に10回目の訪問となる私としては、初めての方々を限られた時間内で如何に効率よく案内するのかに燃える訳で、今回は到着初日の夜、僅か3時間で、ホテル『N.Y.N.Y.』の『ローラーコースター(摩天楼のビル群をすり抜けるジェットコースター』、ダウンタウン『フリーモントストリート』の『フライトラインズ(巨大アーケードをワイヤー1本で空中滑走)』、ホテル『ストラトスフィア』の『ビッグショット(地上280mから更に49m逆バンジー打ち上げ)』の、3大人気絶叫アトラクションを制覇できたのは、我ながらよくできたガイディングであった…

案内された側はヘロヘロであったという噂もあるが!!

さてさて、そんなこんなで充実した時間はあっという間に流れ、いよいよ帰りの途に就く事に。

ロスアンゼルスから成田までの飛行はおよそ11時間。

現地の昼過ぎに出発すると、コチラの翌日夕方に到着する算段なので、機内で頑張って起き続け、帰国後、日本時間に合わせて就寝すれば、丁度時差ボケが最小限となる為、旅慣れたワタクシ、行きの機内で周囲の評判の良かった映画を5本ほど鑑賞しながら、祖国に降り立つ瞬間を今か今かと待ち構える事となった。

何せ、出国前2日間はセミナー講師を務める為、新年早々、早めに岩手を出発してきている。
その為、帰国翌日の早朝からお客様の予約が集中している事態…。
いつまでも『アメリカ的ご陽気感』に浸っている暇はないのである!!

到着予定時刻まで20~30分となった頃であろうか、不意に機内放送が告げた。

『只今…成田空港が大雪の為、滑走路が2本閉鎖となっております…当機はこのまま上空に待機して様子をみますので、今しばらくお待ちください…。』

旅慣れたワタクシ、そんな事もあろうかと、成田空港からの鉄道チケットは、岩手行き最終の東北新幹線に合わせた遅い時間のモノを手配済み。
30分でも1時間でも遅延するがいいさぁ!!

悪天候による気流の変化で、若干機体が揺れ続ける中、何気なく時計を確認すると、既に予定時刻を30分ほどオーバー。
思ったよりかかるなぁ…すると、通路を挟んで座っていた某同行者が、シートモニターを凝視しながら、こう告げてきた…。

『あの…この航路図…行き先の赤い印が…ナニゲに「大阪」へ移動してますケド……何かの冗談ですヨネ??』

旅慣れたワタクシ、いま成田上空をグルグル旋回しているから、機体の向きによっておかしな表示になってるんじゃない??…という根拠のない理論を精一杯展開するやいなや、無情の機内放送が流れる…

『只今…成田空港が完全に閉鎖されました…当機はこれから関西国際空港へ行き先を変え飛行します…。』

でぇぇええ~~!!!! 
こ…これから…お…大阪デスか!?

一斉に戸惑う、外国人を多数含む乗客一同。

しかしながら、我々のツアーグループに関しては、その多くが喜びの表情に!! 
何故なら、その半数以上が西日本エリアから参加している為、悪天候に襲われて乗り継ぎの期待できない成田空港へ下手に降ろされるより、地元に近い大阪へ降り立った方がむしろ都合が良いからである。

飛行機は、大多数の不安な表情の中へ、妙に明るい集団が内包され、更にその中に一際ブルーな数名(特に東北人)が点在するという、喜怒哀楽のミルフィーユ状態を呈しながら、数十分後、期せずして『無事』大阪に降り立った…。

機長の許可が下りた後、急いで地元のマネージャーに電話し、翌日の予約調整を依頼。

次は急いで岩手へ帰る交通手段を模索し始めた、丁度その時、機内放送があまりに意外な内容を告げる…

『只今…当機は関西国際空港に着陸しました……成田空港の天候が回復したとの情報が入りましたので…これから当機は…燃料を補給した後……再び成田空港へと飛行します…。』

でぇぇええ~~!!!! 
こ…これから…な…成田デスか!? 

正直ちょっと…嬉しいケド…関西人に囲まれている手前……素直に喜びを表現できない…!!

しかし…これは長い長い夜の始まりに過ぎなかったのである…。

折り返して成田に着陸したものの、ゲートが混んでいて、なかなか飛行機を降りられなかった事…。
空港からの主要な交通機関がほぼストップしていて、成田から脱出するのが一苦労であった事…。
道路に残る雪をスーツケースで掻き分け、急遽押さえた都内のホテルに到着したのが午前2時だった事…。
そしてその僅か3時間後には、岩手へ向けてホテルを後にした事…。

そんな訳で…例年以上に、アメリカ研修が既に遠い昔の出来事に感じてしまう今日この頃なのである。

ちなみに本州往復分のマイルは…カウント対象外なのは言うまでもない…。


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