見出し画像

書籍レビュー『ブランディング・ファースト』

『左脳の理論だけでなく、右脳的にブランドを確立する』

「ブランディング」という言葉ほど、マーケティングに関する言葉の中であいまいなものもないだろう。
同じ言葉でも人によっては戦略を作ることだと捉え、ほかの人は認知を広げることだと捉え、また別の人は格好良いデザインを作ることだと捉える。
ブランディングを始めようと思ったときに、そもそも社内で「ブランディングとは何か」から意識を合わせないといけないのだ。

本書では「ブランディングは企業の柱を"見つけ、育て、強くする”その一連の過程」と定義され、「経営戦略」そのものである、と書かれている。
そしてその手法においては、デザインが重視されている。

前述したように実態がつかみにくいブランディングは、だからこそ理論的なアプローチがとられることが多い。
様々なマーケティングフレームワークを用いて、自社の強みや競合との差別化点を明確化し、それをユーザーに分かりやすく打ち出す。
その過程でブランドアイデンティティやブランドパーソナリティ、ペルソナなどが設定される。

こうした活動はもちろん重要であり必要であるものの、最後にユーザーにブランドのイメージを伝える際に使われる有効なツールはやはりデザインクリエイティブである。
ブランド戦略をすべて決めてからデザインを作るのではなく、デザイナーも戦略策定に参画させ、目線を合わせながらデザインを作る。
ブランドの方向性を意識合わせするプロセスでもデザインを使って右脳的にすり合わせる。
こうした手法が本書では提案されている。

「なんとなくこちらの方がうちの会社っぽい」という感覚的な判断をうまく共有していくのに有効な手法だと感じられた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?