暗い沼・冷たさ・谷底
表情を作るのが嫌になった。顔の皮の裏側にはどろどろとしたものが溜まっていて、少しでも顔に力を込めれば溢れてしまいそうだ。
繊細な出汁の味が分からなくなった。ただ一定時間を置いてやってくる激しい空腹を埋めるためにしか、食事に関心を抱かなくなった。塩辛くて、油の味があればあとはどうでもよかった。
身体はずっと疲れていて、脚はすぐに痺れる。走らなくてはいけない時は、下半身から意識を切り離して、機械的に早く脚を繰り出した。
毎朝自転車置き場から駅まで走っている。走らないと会社に間に合