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荒木珠奈さんの個展『うえののそこから「はじまり、はじまり」』を、東京都美術館で観てきました。良かった良かった。

現代美術……難しいです。ということで現代美術を克服すべく、どなたかがnoteで「行ってみて良かった」とおっしゃっていたのを拝見した、荒木珠奈さんの『うえののそこから「はじまり、はじまり」』を観てきました。

観覧したのは、10月1日の都民の日でした。上野の山だと、東京都美術館と上野動物園が無料で入れる日です。これは絶好の機会だと思い、同展を観てきました。来週の三連休の最終日……10月9日(月)まで開催されています。

作品はすべて撮影OKで、撮影禁止の作品はありませんでした。かといって、作品をパシャパシャと撮るだけの人……という雰囲気の方はいませんでした。みなさん、気に入った作品だけを撮っていく感じだったような気がします。

それよりも……無料だったこともあって、大盛況すぎて、なかなか作品の前でじっくりと鑑賞する……という雰囲気ではありませんでした。それでも、誰も観ていない作品を中心に観ていくというのを2周すると、ほとんどすべての作品を余裕をもって観られました。

展覧会名に『うえののそこから……』とあるので、上野を意識して制作された作品が集められているのかなぁと思いながら観ていましたが……まぁそこはあまり気にしない方が良さそうですね。

それでも『神奈川沖浪裏』からインスピレーションを受けただろう作品があったりして……こういうのが、上野というか東京下町っぽい感じなのかな……なんて思ったりして。でも、こういうわたしが好きな、サイズが小さい、小品がたくさん展示されていて、良かったです。すごく良い……こういう絵を描けるようになりたいとすら思いましたw ←絵は全く描けません……描きません……。

《街の太陽》と題され、赤い太陽がドーン!と線描された作品は、その街のシルエットが、上野のような気がしました……。もちろん気がしただけですけどね……なんとなく国立科学博物館の屋上から見た、線路沿いのビル街のシルエットなのかもなぁと。

こういう絵は、わたしでも描けそうな気がするんですけど……描いてみたら、オリジナルの作者のセンスの良さや上手さが、よりハッキリする作品のような気がしました。

《El sol en la cuidad (街の太陽)》1994年・作家蔵
《Bailamos? (踊りませんか?)》2005年・作家蔵
英語タイトル:Shall we dance?

メキシコっぽい作品も何点かありました(2点だけだったかな)。こういう切り絵のような作品も良いですね。シルエットがキレイ。

それとは真逆に、カラフルなところも込みで、メキシコ感が全開の作品も部屋に飾っておきたいです。

《La calavera amarilla (黄色いガイコツ)》2005年
右は《Las estrellas en el desierto (砂漠の星)》

濃紺一色の作品も素敵な感じがしました。これを自分が描くとしたら……絵を描けないくせに……描けないこともないだろうけど、例えば夜空を見上げて、この絵の完成形が頭の中に浮かぶかと言えば、わたしにそうした才能はないなぁと思ってしまいます。

《つなわたり》

背景に多くの観覧者のシルエットが映ってしまいましたが、実際にはすごくシンプルなクリーム系の白の背景に、黒い岩のシルエット、それにグレーの綱渡りする人が描かれていました。すごく良いです。

左《明日咲く》、右《花たち》

最近、彼岸花を街中などでよく見かけるので、この絵を見て彼岸花が思い浮かびました。よく見ると花の部分が、人のようにも見えて……こういう発想は、わたしにはないなぁ……。

《La Iluvia de aguamiel (アグアミエルの雨)》2005年
エッチング、アクアチント、リフトグランドエッチング

構図も色も、センスですよねぇ……。なんだか、物語が思い浮かんできそうな作品です。

《雨見》2000年
エッチング、アクアチント……手彩色

よい……よいですね。この雨の感じは、紙の素材なんでしょうか……。雨の感じが非常に良いです。

《一番最初に 道なき道を歩いて行った人のーどこへでも続く道があってー 詩・小松未季》1998年

絵本の絵みたいだなぁと心地よく作品を眺めていたら、さらにそんな物語が思い浮かびそうな……本の表紙にしたくなるような作品が展示されていました。そういえば、大人も子供も観覧料が無料だからなのか、それとも普段からそうなのか分かりませんが、子供連れがたくさんいました。わたしも子供に、こういう作品を見せたいなぁと思いつつ……もう小3だから、大きなお世話かな……ともw

これは本当になにかの挿絵のようです。

《NeNe Sol末っ子の太陽一 挿絵7》2011年
アクリル絵具、 紙
《地震の後》1995年
エッチング、アクアチント

作者の荒木さんは、優しい色合いを組み合わせた絵が得意のような気がしましたが……それはわたしの好みだから、そう思っただけかもしれません。一方で、黒の一色で描いた作品もいくつかあって……こういうのは、なにかを意識して描かれているんだろうか? などと考えてみようかどうしようか考えてみましたが、どうせ正解が得られるわけでもないので、考えるのをやめました。黒一色の作品は、切り絵のようなものが多かった気がしますが、この《地震の後》というのは、細部まで精緻に線をひいていたのが印象的でした。なにか……モヤモヤした感じがすごいです。

《玉けり》
《夜》1999年

こういう外国のお土産みたいな作品もいくつか展示されていて……←そういう言い方が失礼だったら申し訳ないです……でもこの箱からじゃばらで出てくる絵も良いし、アイデアもおもしろいなと。

ドールハウス的な…。

展示室の壁に、無数の白い箱が設置してあって、その箱を開けると、こんな感じになっている作品がありました。

子供たちが、楽しそうに箱の中を覗き込んでいました(もちろん大人もですけどね)。

今回の展示会でイチニを争うバエスポットです。天井から無数のランタン……というか、なんていうんでしょう、明かりが吊るされていて……それを見た子供が「見て見て! 下から見るといろんな絵が描いてあるよ」って叫びながら、いろんなランタンを覗き込んでいました。楽しそうw それでランタンの下から、見上げてみたのが下の写真です。

夏休みの工作とかで、こういうのを作ってみたらって息子に提案してみようかなw

《記憶の底》2023年
《記憶の底》2023年
《記憶の底》2023年
《記憶の底》2023年

基本は出不精なので、休日一人で家に居る時は……家から出たくないなぁ……というモードなのですが、がんばって行ってみてよかったです。

実は、展覧会の入り口まで行って、行列の最後部まで行って、一度「やっぱり混んでいるから今日は帰ろう」って思って、美術館の外まで出たのですが……やっぱりせっかくだから見に行こうと、改めて最後部に並び直して、10分くらい行列して入ったんですw

行ってみてよかったです。

あと数日で終わってしまうので、お早めに。

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