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手元に置いておきたくなる年賀状のデザイン

こんにちは。
博報堂プロダクツ プレミアム事業本部 プロダクトデザイン部の橋本です。
私たちは、キャンペーンで使うノベルティグッズやユニークな開発アイテム、飲料や化粧品のボトルやパッケージなどを手掛けるプロダクトデザイナー集団です。
今回は、二次利用できるペーパークラフトタイプの年賀状の開発ストーリーです。

年賀状は元旦に受け取って終わり?
手元に残しておきたくなる年賀状をデザインしたい!

みなさんは毎年どんなデザインの年賀状を送っていますか?
電子版に移行したり、年賀状終いをおこなったり、年賀状を見る機会は年々減ってきているように感じています。子供の頃はメッセージを読んだり、可愛いデザインを眺めているだけで楽しかった年賀状ですが、時期が過ぎると引き出しの中で眠ったり、捨てられてしまったりすることが少し悲しく思うことがあります。

そんな思いもあり、手元に置いておきたくなる年賀状のデザインをプロダクトデザイン部で毎年考えています。今回は、2022〜2024年の年賀状デザインをまとめてご紹介します!

2024年は 、カレンダーとスマホスタンドになる2WAYな年賀状!

昇龍をモチーフにしたデザイン。折り線に沿って組み立てると・・・


カレンダーとスマホスタンドになる2WAY仕様

グラフィックは、和紙のような質感や印刷のメリハリを出すために、特色4色でデザインを制作しています。この際、グラフィックの魅力を活かしながらカレンダーの視認性を上げるための色のセレクトが非常に難しく、繰り返し検証しながら色を決めていきました。また、組み立て方をわかりやすく伝えるために、宛名面にシンプルな組み立てイラストを入れています。

もっとも難しかったのは紙のセレクトでした。
複数種で試していたので、2種までに絞り込むことができましたが、和紙のような質感で発色が良い紙か、ハリがありペーパークラフトとして扱いやすい紙か最後の最後まで悩みました。
最終的に、ペーパークラフトとしてのクオリティーを優先し、ハリがある紙を採用しました。
FSC認証紙のため、サステナブルな仕様となっています。


(上)ハリと強度がある紙 (下)風合いが良く発色が良い紙最終的にペーパークラフトとしての強度を優先しハリと強度がある紙に決定。

干支のデザインは、日玉の視認性を良くするために白い辰(白龍)を採用しました。
白龍は中国の神話のなかで天帝の使いで、他の色の龍より速いスピードで飛ぶそうです。
このことから、願いを早く叶える力を持っていると言われ、意味合い的にも縁起が良いデザインを目指しました。
また、辰の持ついかついイメージを払拭すべく、あえて版をずらして色を重ねたり、原色に近い色味を選んだり、卓上にあっても、ほっこりするような素朴感を残したイラストに仕上げました。

初期のデザイン

年賀状のデザインをはじめた当初は、干支を使ったデザインで様々な形状や仕様のアイデアを出していました。
カレンダーになる年賀状も3年目なので、もうワンギミックプラスしたい。という想いから、スマホスタンドになる2WAY仕様が生まれました。

スマホスタンド以外にも、名刺スタンドやペン立てといったデスク周りのツールも考えましたが、辰のほっこりしたテイストに合わせて、リラックスしたい時にも使えるスマホスタンドにしています。
年賀状はサイズや加工に制限があるので、ペーパークラフトになった時の強度に限界がありますが、今回の開発を経て面白いギミックを考えたり、試したい印刷加工を見つけたりすることができたので今後のデザインに活かしていきたいです。

2023年はピョンっと飛び跳ねる!1年の飛躍を願った年賀状

2023年は干支の卯をモチーフにデザインしました。

組み立てると、うさぎフォルムの卓上カレンダーになります。さらに、しっぽの部分を押すと、ぴょんっ!と飛び跳ねるギミック付きです。新年のさらなる飛躍をユーモアを交えて表現したデザインです。

シンプルなカタチに見えますが、紙素材でジャンプさせるギミックを実現させるのが難しかったです。コシのある紙素材を選び、前後の脚部分の太さや切れ込みの長さを何種類も試作を作りながら設計しました。
コシのある紙を使ったので、紙がヘタれたりちぎれたりすることもなく年間カレンダーとしてしっかり活躍してくれました。

詳しくはコチラをご覧ください↓


2022年は金屏風からトラ!?な年賀状

2022年のデザインは干支の寅にちなんで、組み立てるとストライプ部分からトラの尻尾が現れるウィットに富んだデザインが特徴です。
金屏風をイメージした紙はFSC認証紙を使い、サステナブルな仕様となっています。

詳しくはコチラをご覧ください↓

年賀状のデザインを通して、あらためて紙の魅力やペーパークラフトの難しさ・面白さを知ることができました。紙を使ったデザインは、ちょっとした工夫がクオリティに影響するので、とてもやりがいがあります。今後も新しいデザインに挑戦していきたいです。

これからも思わず「ほしいっ」と思ってもらえるモノづくりを目指します!
2024年もプロダクトデザイン部をよろしくお願いします。

Size:約W260×H140mm
※この作品は販売しておりません。

Staff list
2024 Design:橋本千里 野本 貴恵 
2023 Design:内田成威 橋本千里
2022 Design:内田成威 松本早紀子


「プロダクトデザイン部のアトリエ」のご紹介

最後に私たちのWebサイトのご紹介です。私たちは「プロダクトデザイン部のアトリエ」というギャラリーサイトを運営しています。このサイトは「あたらしい価値をカタチに。」をコンセプトに、日常のちょっとした気づきや発見をカタチにした作品を制作し、ギャラリーサイトとして作品を紹介しています。

ユニークでステキなプロダクト作品をたくさん掲載していますので、ぜひご覧ください!

noteでは「プロダクトデザイン部のアトリエ」で生まれた作品もピックアップして、デザインのこだわりやプロセスなど楽しくお届けしていきたいと考えていますので今後もお楽しみに!


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