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【発達障害】不登校 睡眠と服薬のハナシ


読了目安:約13分

2024年1月13日更新
「発達障害の当事者とまわりの人のための薬はじめてガイド」の
紹介を追記しました。

丸々1年間の不登校期間

中1の1年間の間、
母である私はくにゃんは
焦りから、
長男に対して 今思えば
数々のやるべきではない行動を
とってしまっていました。

こんな母ですが、
今振り返って
「あの時、やってて良かった!」と思えることもあります。

今、当時を振り返って、
現在に繋がる「やってて良かったこと」
それらをご紹介したいと思います。

以下の内容は、私と長男の個人の感想です。
受診や服薬、サプリメントを勧めるものではありません。
必要なときに 適切なタイミングで、
医師、心理士、カウンセラー等の専門家に繋がり相談することをご検討ください。
そして、ぜひ、当事者本人の話を聴いていただければと思います。
そのうえで当事者本人と合意形成し意思決定して、
そのうえで進めていただければ良いかな、と思います。


やって良かったこと その1 【安定した睡眠の模索】

長男は、赤ちゃんのころから本当に寝つきが悪かったです。
いわゆる【背中スイッチ】のある子
抱っこで寝かしつけて、そぉ~っと布団に寝かすと
「ぎゃぁーーーーーっ」と泣き出す、の繰り返し・・・
子育てあるある話ではありますが、
その中でも、長男はかなり育てにくい子だと感じていました。

——とにかく寝つきが悪い。
——寝るのを嫌がる。
——幼児なのに昼寝を嫌がる。

苦肉の策として、
新生児用の薄ーい沐浴用ガーゼを
頭から被せて、視界を遮ると寝付きやすい、という技を編み出し
窒息に気を付けながら被せて、なんとか寝かしつけたり。

たかが寝かしつけ、
されど寝かしつけ。
へとへとになってしまいます。
睡眠については、悩みの尽きない幼児でした。

小学2年生
普通級に在籍していましたが
新学期早々、他害行動が激しくなりました。

教室に入れなくなって
登校できなくなった時とき、
市の療育機関の心理士の先生に言われた言葉
それが
「規則正しい睡眠を心がけて」
ということでした。

家にいても、睡眠時間が一定で
昼夜逆転していなければ
外に出るきっかけができたとき、スムーズに移行できる

そう、心理士の先生からアドバイスを受けました。

この心理の先生のアドバイスは、
この後も不登校が続く長男を育てる私にとって
子育てのよりどころになりました。

とにかく夜眠くなるように 
寝付きやすいように。
 朝、決まった時間に起こして 
 昼、適度に体を動かして疲れさせ
 夜、布団で絵本を読んで眠気を誘う
長男にも説明して、起床後 太陽の光を浴びたり
カーテンを遮光性の高いものに替えたり。
できる工夫はとにかく色々試し、
環境整備でできることをやりつくした感じでした。

・・・しかし、母である私の作戦は、大きな効果は感じられず 
寝つきの悪いまま 彼は成長していきました。

小学6年生
秋に修学旅行に行った直後、力尽きて不登校になったころから
寝付きの悪さがさらに目立ち始めました。
本人も、「眠れなーい 寝たくなーい」と
毎日言っていました。

その頃、発達障害と睡眠障害の関連性について知った私は、
自分なりに書籍に目を通したり、心理士の先生に相談をしていました。

そして、中学1年になり児童精神科を受診し始めた時、
ドクターに「メラトニン」の服用について相談しました。

メラトニンとは
松果体から分泌されるホルモン。下等動物からヒトまで、季節のリズムや概日リズム(サーカディアンリズム)の調節作用をもつ。
 ~中略~
メラトニンには催眠作用があるため、欧米では睡眠薬としてドラッグストアなどで販売されており、日本でもインターネットで並行輸入が可能です。しかし、一般的にメラトニンの催眠作用は弱く、寝る前に服用しても寝つきは若干良くなるものの、不眠症の改善効果は乏しいことが分かっています。

厚生労働省 e-ヘルスネット メラトニン | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)


実はその頃、2020年にASD等の発達障害児に対して、
メラトニン製剤の処方が保険適用になったばかりのタイミングでした。

私が長男を育てながら 日々感じていた睡眠障害が
やはり発達特性からくるもの
だと知って、
「やっぱりそうだよね~ 
ちょっと定型の子どもとは違うよね~」と
めちゃめちゃ腑に落ちたのを憶えています。
長年の謎が解けた気分でした。

もう、環境整備では無理だ、と納得した私は
児童精神科の医師に相談したうえで、
アメリカの幼児用メラトニンサプリメントを購入し、
長男に飲ませるようになりました。

サプリメントは、輸入販売サイトのiHerbで
3歳から服用できる
ブルーベリー味のチュアブルタイプを私は購入していました。

このメラトニンサプリ 
長男には じんわり効果がある感じでした。
長男自身が睡眠障害の自覚があったので、
このサプリメントを飲むことを 自身で選択して飲んでいました。

効き目は本当にマイルドでした。
効かないこともないけど、すごく効くわけでもない感じ。
上述の「厚生労働省 e-ヘルスネット」に
書いてある通りの感じでした。

なんとか様々な睡眠の工夫をしながら、
不登校期間も 規則正しい生活をギリギリ確保した

そんな感じでした。

やってて良かった、と思う日は突然来ました。
中学2年になって、担任が変わったことをきっかけに
突然毎日登校を始めたのです。
昼夜逆転していなかったので、
彼は本当に即、登校を始められました。

心理士の先生がおっしゃった
「規則正しい睡眠を心がけて」
このアドバイスが、6年後に功を奏した感じです。


やって良かったこと その2 【児童精神科受診と服薬】

長男は中学1年の春
児童精神科を定期受診するようになりました。

3歳から通っていた 市の療育機関で
それまでは心理科に通っていましたが
児童精神科の医師への相談を 追加で開始した形です。

そして、彼の状況を詳しく知る心理士の先生の意見と、
医師の判断で
「エビリファイ」から服薬をスタートしました。
その後、抑うつ気味で、
不登校生徒支援の市の施設や、放課後等デイでの学習支援に
行きたがらずやる気の出ない状態だったことを相談し、
「レクサプロ」の服用を追加で開始しました。

上記の2つの薬は、もう3年間、
精神科を必ず毎月受診して、継続服用しています。
長男の場合、副作用もなく安定して元気に生活できています。

この中1の服薬開始は、小学6年の頃から計画的に進めました。

精神科の服薬は、当事者や保護者の希望
また年齢や体調、状況によって
その必要性を個別に医師が判断するものです。
症状を和らげたり、疾病の治癒を目的とした服薬とは
意味合いが違うと思います。
ですから、本人の気持ちを丁寧に聴き、
ドクターからしっかり説明を受け、
合意のうえ服薬開始しなければいけない、と思います。

——私がこのように考える理由
それは、小学6年の支援級担任に言われた言葉です。


小学6年の1学期も終わりのころ
その頃、学校で対人トラブルを度々起こす、
今日もこんなことがあった、と
毎日のように担任から電話がかかってくる状況でした。
長男は自分は悪くない、と強く意見を主張し、
担任がどのように長男に接しているのか、
私も不信感を持ち始めていました。

そんなころ、長男がまたトラブルを起こした、
家に帰ると言っているので迎えに来てほしい、と
私の勤務先に電話がかかってきました。
慌てて学校に迎えに行くと、
玄関で、ランドセル姿でふてくされた様子の息子と
うんざりした様子の担任が待っていました。

もう、良く分からないけど謝るしかない私。
その時、担任が吐き捨てるように言い放った言葉

お母さん、病院に行ってきて薬でも飲ませてください

何を言われたのか
その時は正直分かりませんでした。

長男を連れて家に帰り 
担任がトラブルと表現する出来事を 彼の話を聴いて理解し
そして、改めて言われた言葉を思い返します。

担任にとっては、彼の行動の背景にある不安感や
言葉の交わし方や特性からくる意味の取り違えとか
そんなことは関係なくて

発達障害なんだから
精神科の薬でおとなしくさせてくださいよ、という
程度の理解しかないのかな

私は怒りを通り越し
長男を育ててきて何度も味わってきた
理解してもらえない絶望感をまた感じていました。

服薬に対する 担任のこの無理解な発言は、
私のメンタルを削ぐのと同時に、反面教師になりました。

私なりに勉強したり、心理士の先生に相談して
彼の困り感に対してできることを模索しました。
そして、療育機関で 
特性に関する評価法であるMSPA(エムスパ)を実施してもらい
その後、中学入学を目前に控えたタイミングで
心理士の先生から 障害告知と
特性についての説明を長男にしていただきました。

(MSPA(エムスパ)については、
後日別記事でご紹介したいと思います!)

長男には、自身の特性を(小6ですので ある程度)
理解してもらったうえで
中学入学後、児童精神科ドクターにバトンタッチし
合意のうえで服薬を開始しました。
現在に至り、彼が安定して生活できているのは
お薬との良好な付き合いができているからだと感じています。

        ****

お母さん、病院に行ってきて薬でも飲ませてください

この 担任から放たれた言葉は
一生忘れられない言葉のひとつです。

もちろん、学校の先生方が皆 このような考えを
お持ちではないことは理解しています。
でも、言われたことは事実です。

正直、私自身も、
もっと低年齢のときから服薬したら
彼の困り感を服薬で改善できたら
長男はもう少し生きやすいのではないか
こんなに生きづらそうにしているのに
何か方法はないのか・・・と 
服薬を安易に思っていたことがあります。

これは、私が正しい知識を持っていないうえに
学校に無理やり適応させようとしていたからに
他なりません。

多数派である定型発達の人が、
現在の学校教育という枠組みの中に
少数派の特性を持つ子供を押し込めようとする。
そして、そこからはみ出てしまう
特性を持つ子どもと その親を
このような言葉で追いつめ
挙句の果てに、不登校というレッテル貼りをする。
こんな学校教育は もうやめませんか
・・・

そのためには、特性を持つ少数派の人たちのことを
正しく理解してもらいたい。
そのために、できることは無いか
私も、長男も、
義務教育のサバイバル生活の終わりを目前に控えて
そんな風に感じています。

繰り返しにはなりますが
上記の内容は、私と長男の個人の感想です。
受診や服薬、サプリメントを勧めるものではありません。
必要なときに 適切なタイミングで、医師、心理士、カウンセラー等の
専門家に繋がり相談することをご検討ください。
緊急性がある場合、医師の判断が必須だと私は思います。
発達障害の特性は、100人居たら100通り それぞれ違うものだと思います。
個別の判断は医師と、信頼できる専門家と
そして当事者本人と対話をされることをご検討ください。


ストラテラと睡眠障害改善

お薬について余談です

中学2年になり
中学に登校するようになった長男は医師に相談して
ADHDの薬である「ストラテラ」の服用を始めました。

ストラテラ服用は、
当然ADHDの特性から来る
困り感の軽減を目的としてました。
中2になり、自身の集中が難しい特性を感じ
勉強に危機感を憶え、服薬を希望したのです。

飲み始めて、思わぬ効果がありました。
ストラテラで、長年の睡眠問題が解決したのです。
嘘みたいに寝つきが良くなりました

中学生ですが、21時には眠くなります。
そして、疲れていても なかなか眠くならなかったのが
疲れを感じたら 昼寝をするようになりました。
実は、長男は昼寝をすることができなかったのです。

その代わり、とても疲れを感じやすくなりました。
この話をドクターにしたところ、
「今までも疲れを感じていたのに、
それを正しく感じることができなかった。
それだけ体は疲れて休息を求めていたのに
特性から眠れず、体が悲鳴を上げていたんですよ。
体が求めるサインを正しく感じることが
できるようになったということです。
だから、眠い時は寝てください!!」とのこと。

発達障害の特性で
疲れを正しく感じることができなかった———
気付いていなかった特性に驚いてしまいました。

そして、このドクターの言葉が中3の現在に繋がり、
彼の高校進学の学校選びの際に
時間割を自分で決めることができる
【単位制定時制高校】を志望することに繋がっていきます。

服薬については、
「発達障害の当事者とまわりの人のための薬はじめてガイド」
とてもおすすめです。
無料でpdf版をダウンロードすることができます。
長男もダウンロード版をプリントアウトさせていただき
手元に持っています。

「発達障害の当事者とまわりの人のための薬はじめてガイド」は、発達障害の薬をはじめてつかう人、その家族や支援者、そして医療従事者のためのチュートリアルブックです。このパンフレットは、発達障害の当事者が作りました。発達障害のある人が、はじめて病院に行ったり、薬を飲んだりするとき、どのようなことが気になっているのかを一問一答形式でまとめてあります。



今、振り返ると
不登校期間に
何かやらなければいけないことは無くて。

子どもと対話して、環境やタイミングが整ったときに
「やりたい」と思ったことを出来るように
心と体の健康を整えることに心を配るー
そういう風にして
この期間をサバイブできると良いのかな、と感じます。

今は出口の見えないトンネルかもしれません。
お子さんも そして親御さんも。
でも、振り返るときが いつか来るかもしれません。

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そうは言っても、目の前で学校に行けず
ゲームばかりしている子どもを見てて 不安しかない
そのお気持ちも 本当に分かります

気持ちを話せる場所や専門家に頼るのもおすすめです
最後までお読みいただき ありがとうございました!

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