減量体験記1 2007年1月下旬

2007年1月下旬。

僕はボンヤリ実家の天井を見ていました。

理由は病気。

「早期回復の見込み薄し」という担当医師、会社の福利厚生、両親。自分以外全ての人の勧めにより、2006年12月で東京の会社を退職。ほんの3ヶ月前には、正月にさえ戻る予定もつもりも無かった北海道。仕事を続けたいという希望もかなわず、限られた友人に会って事情を告げ、半月後には部屋を引き払い、荷物をまとめて都落ち。

自宅に戻ってからは、仕事への使命感で張りつめていた気持ちが緩んだのか、自覚が無かっただけで相当疲れていたのか、本当に寝るだけの日々。朝起きて食事をして寝る。昼過ぎに起きて食事して寝る。夕方に起きて夕食を食べて寝る。それでも寝られる。寝られてしまう毎日。
晴れていたら「少し気分がいいかも」と読書。その最中に気づいたら寝ている。雨の日は「頭が痛む」と寝てやり過ごす。曇りの日は「気分が晴れない」と寝る。
「天気症」というのは、本当にあるんですね。
あの頃の僕は、後頭部の頭痛によって天気予報より確実に翌日の荒天を予測できました。

多すぎると思われる睡眠には、薬の作用もあったかもしれません。
二週間に一度、メンタルクリニックへの訪問と診察。 毎食後に抗欝剤を服用。けれどその頃は、気分が高揚した記憶はほとんどありません。
そして就寝前には睡眠導入剤。
その頃を思い返すと、強烈な不安や落胆はなかったけれど、感情、思考、挙動、五感……全てに一枚薄いベールがかかった様な状況だった気がします。

結果として、自宅での静養生活は一年半続きました。

***

「減量体験がメインであるため、病気への詳述は避けよう」という心境だったことを思い出します。そして病名をカミングアウトすることに対し、心理的な抵抗があったことも。
地元・函館のメンタルクリニックで告げられた診断結果は「うつ病」でした。体験記を書いた頃(2015年11月)は通院・服薬中だったので、気持ちの整理がついていなかったのでしょう。 (記 2019/02/23)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?