減量体験記32 肥満は伝染する

今回はサイエンスコラムより。 

数年前、研究者のニコラス・クリスタキスとジェームズ・ファウラーは、肥満に関する驚くべき発見(日本語版過去記事)を行った。肥満は、まるで伝染病のように、人から人へ伝播するというのだ。

彼らはこの伝播について、『フラミンガム心臓研究』(FHS)のデータセットによって実証した。FHSとは、マサチューセッツ州フラミンガムで行われた、心血管疾患の危険因子の多くを明らかにした長期の疫学研究だ。[12,000人以上を対象に、32年にわたって計測を行なった]

FHSでは、各参加者の親しい友人、同僚、家族の情報が示されているため、研究者たちはそれをもとに、フラミンガムの町の社会的ネットワークを再現し、誰と誰がどのようにつながっているのか調べた。そのデータが示していたのは、ある人が太ると、その友人が同じ道をたどる可能性は57%高くなるということだった(肥満の予測因子としては、肥満遺伝子の有無よりも、その人が持つネットワークのほうが、はるかに優れているということになる)。きょうだい間では、ひとりが太ると別のきょうだいも太る可能性は40%高くなり、配偶者間では37%高くなるという。

しかし、われわれの食生活にほかの人がどうやって影響を与えるのだろうか。コロラド大学ボールダー校の研究者たちによる新しい研究は、この疑問に答えようとするものだ。

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肥満はなぜ「伝染」するのか:実験結果


「糖尿病、脳卒中、ガンは遺伝する」に近い話かと思ったら、もっと人と人の繋がりに主眼を置いた文章でした。

因みに生活習慣病(ガンが当てはまるかは微妙ですが)に関しては、土地柄と、一族を含めた家族の食事による要因も大きい(塩分を沢山摂る地域の一家は、同じ病になりやすい=親も子も同じ物を食べている等)と考えています。それが全てとは言いませんが、食事と健康を考える一つの目安になるでしょう。

自分に身近な人が太ったという事実を反面教師にするのではなく、むしろ自分の許容範囲が広がったと、どうやら「無意識に考えてしまう」という指摘は、なかなか興味深いと思いました。だからといって、その人との関係を絶て、というのも極端な話ですが。

人は、周囲の食べる量に合わせて自分の食べる量を決める傾向があることが明らかになった。すなわち、ビッグマックの特大セットを食べる人たちに囲まれていたら、われわれも同じものを食べる可能性がはるかに高くなるのだ。     (肥満はなぜ「伝染」するのか:実験結果 より)

これは、往々にしてありえる話ではないかと。反面、一人で生活しているとしたら、大食いの家族や同居人がいる家より食事制限は難しくないと思います。自分の食事を自分で決められるので。

何時に、どういう物を食べているのか。それを逐一記録し、後に客観的データとして検証する。「管理」というのは、そういうことではないでしょうか。

僕がレコーディングダイエットを勧める所以です。

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「レコーディング(記録)は、自分自身を客観視する助けとなる」と考えています。3日前と今日を比較し、減量への決意を新たにする。大切なことだと思います。そしてその決意と同じくらい、もしかするとそれ以上に、1か月前と今日を比較して、自分の進んできた(進んでいる)方向を知る、ということも。

以前、減量について情報交換をする機会がありました。「エステで15kg減量した」という人。「なにをやっても続かない」という人。いろいろな人のお話を聞くと、僕にとってはハードルが低く思えたレコーディングダイエットを「非常に面倒くさいと感じる人がいる」という現実に気づかされます。何を簡単と感じるかは人によって違う。こうして誰かと話すことで、視野が狭くなっていた自分に気がつきます。 (記 2019/03/14)

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