科学、政治、社会、ビジネス。芸能を除けば、ニュースや批評はいつだって難解だ。しかし、ちょっとしたユーモアでその壁を取り払うことは出来る。人民に批評的視点を与えることが出来る。すると、ほんの少し世界は動き出す。ニュースや季節の行事に基づく短編小説「時事ショートショート(Part 2)」は、そんな大袈裟な目的を持った小さな取り組みである。

動画付きショートショートは、テキストと動画メディアの順番に沿ってお楽しみください。

東京五輪

東京オリンピックを通じて科学技術立国としての権威を誇示したいなら、ドーピングやロボティクス使い放題の競技大会を開いて、科学者技術者を表彰した方がよほど費用対効果が良かろう。

おしっこ飲みたい

地心軌道を周回する衛星ホテルの建設を進める宇宙スタートアップOrion Spanは、彼らが富裕層向けに提供する水を、地球から輸入すると発言した。

クローズドループ処理した尿を飲めないとは、なんとも小便臭い宇宙旅行である。

洗濯

ことを済ませて一番最初に触るベルトを洗濯しない人類の何が文明と言えようか

我が闘争

最年少料理長昇格、進む機械化、奪われる仕事。

それでも麺と向き合い続けた先に見えた感動のサクセスストーリー。

堀江貴文氏著「我が闘争」、家入一真氏著「我が逃走」に次ぐ、AIロボティクス時代を生きる若手ビジネスマン必見の一作。

「我が刀削」、乞うご期待。

飲んだら乗るな乗るなら飲むな

プルタブと同じ。ひいた命は戻せない。

初めて恋をした日に読む話

TBS系ドラマ「初めて恋をした日に読む話」が最終回を迎えた。

一度も拝見することはなかったが、もしあなたが外国人に初めて恋をした日を迎えたら、”I love you”にはご用心。

2-3回のデートを重ね、「あなたのことが好きかもしれない」程度の感覚で伝えれば、相手は目をひん剥いて驚くことだろう。

恋力よりもまずは語彙力である。

ヘヴィーメタルがお好き

ライフワークバランス、働き方改革、プレミアムフライデー。

これを見た後では、企業や国の方策が軟派に見えて仕方ない。

「WiFi飛んでる？」

「はい、こちらになります。」

「そうか、今ちょうど左上部の小部屋にいるから感度が弱いんだね。丁寧な図示をありがとう。ちょっと横にズレてみようか。」

「お客様、ドアの向こう側から大変恐縮ですが、横にズレた勢いでWiFi以外が飛び散らない様にお気をつけください。」

洋画

タイムリミットは5秒。

全米を驚愕させた『Iodine Clock Reaction』がついに日本上陸。

クライマックスまで目を離すな。

参照: ヨウ素時計反応

Sears

130年前の1886年。

米小売り大手Searsは、通販ビジネスで一世を風靡した。

しかし、長い歴史の過程でそのビジネスモデルを捨て去り、百貨店ビジネスへと転換。

その結果、Amazonの台頭を背景に倒産に追い込まれた事実は、小説よりも奇なり。

夢の(ない)瞬間移動

もしテレポーテーションが可能になっても、「現在その地点までの回線は大変混雑しております。このままお待ちいただくか、プレミアムコースへのアップグレードを選択してください」ってなるのさどうせ

Polyura athamas

熱帯アジア原産の蝶の幼虫。俗称は「ドラゴンヘッドキャタピラー」。

派手な頭部と対照的な鈍い動きは、文字通りの龍頭蛇尾。

時期を感じる「第七感」

人間が「第六感」能力を持っていることを東大などのチームが米誌に発表。磁気や磁場を感じる「磁覚」能力は、渡り鳥など多くの動物が持っているが、人類のそれは進化に伴い退化したとみられている。

同チームは、時期を自覚し、後悔のない余生を送る爺婆を増やす可能性を秘める第七感の発見を急いでいる。

ハイパーインフレ

ベネズエラが、政局の混乱の末に、ハイパーインフレに見舞われているという。

最も苦しいのは、ワンコインゲームが売りのゲーセンであろう。

葬儀

世の中には火葬、土葬、水葬など様々な葬り方があるわけだが、海産巻貝葬だけは避けたい。ギョッとする。

蛸の擬態

悪そなやつはだいたい友達

ラップやヒップホップへの偏見を捨てよう。

ポップミュージックと比べた時、歌詞に暴力的な言葉が出てくる回数が、ポップとラップではほとんど変わらないことを最新の研究が明らかにした。

全く関係ないが、私は昼は眼鏡屋、夜はラッパーの顔を持つ。

目が悪そなやつはだいたい友達だ。

三高

結婚の条件として三高を掲げる婚活中の女性は、今すぐシリコンバレーに行くべきだ。

英語が苦手なら、日本のイケてるスタートアップに目を向けてもいい。

高学歴、高収入、高機能広汎性発達障害がうじゃうじゃいるぞ。

環境の4R

中国を筆頭にゴミを輸入してくれる国が減少する中で、ゴミ問題解決に3R (Reduce, Reuse, Recycle)だけではもう足りない。

本当にその製品必要なんだっけ？広告に不安を煽られてるだけじゃない？

過剰な消費主義の誘惑をRefuse(拒否)する4Rの心構えが必要である。

噂の高知能地球外生命体

「高知能地球外生命体がいたら、ブラックホールの放射線で駆動する宇宙船を作っているはずである。また、もしそれが真実なら、ガンマ線望遠鏡でその形跡を調べられるはずである。」

そんな奇抜な仮説が発表された。

それだけ高い知能をもってすれば、我々が彼らの噂をする度、くしゃみの勢いで動く宇宙船が作られていてもおかしくないだろう。

排水溝のない宇宙船内でのシャワーの仕方

1. 水と洗剤を混ぜた洗浄液(洗い流さなくていいタイプ)を用意する

2. タオルに染み込ませる

3. 体を拭く

病院の清拭と全く変わらない、想像の800倍地味な手法であった。

サディスティックロジスティクス

Evernoteを脳のHDD代わりに使っていると、無意識に身に覚えのないメモを見つけることがないだろうか。

例えば今朝は、ただ一言「サディスティックロジスティクス」という耳心地のいい一言がメモに残されていた。

物流業界の厳しい労働環境に反抗するパンクロックバンドでも計画してたのだろうか。

「脳とコンピューターが繋がる」、「人間はやがてサイボーグになる」。

そう聞くと多くの人が恐怖や嫌悪感を示すが、四六時中スマホにPCに向かい、作業効率も容量も依存している現代人は、おおよそサイボーグ化されていると言えるだろう。

ストレス性不感症

この景色を見て何も感じないワシは、超のつく不感症だろう。

ストレスが多い今の仕事はやぶさかではない。

しかし、高を括るべきではなかろう。

とりあえず羽を伸ばして、気を取り直すべきだが、海外旅行に飛び立とうとも、この時期はどこも混んどる。

「人類の手が新しい小さな星に届きました」

「はやぶさ２」が小惑星リュウグウへタッチダウンした際に、JAXAが残した言葉である。

アームストロングを彷彿とさせる一方で、ちょっと狙いすぎではなかろうか。

おっと、うっかり本音が漏れてしまった。

私も所詮同じはやぶさである。

コットンキャンディーロブスター

「1億分の1」の確率でしか取れないコットンキャンディーロブスター。

海で密漁しようにも、見つかる前に酸欠でこっちの顔が真っ青だ。

ファストフード

ボストン大学の最新研究によると、アメリカ人のカロリー摂取量の11%をファストフードが占めてるという。

いや、記憶違いだ。

さっきマックで女子高生が言ってたんだ。

米朝首脳会談

たしかにどちらもビール腹。

デジタル・ガバメント

政府が提唱するデジタル・ガバメント実行計画。

「デジタル」と「ガバメント」。

ミスター・チルドレンも脱帽するアベこべな組み合わせだ。

fitbit

男性経営者 「スマホでトラッキング出来るのになぜfitbitが必要なの」

女性経営者 「女性用のボトムスの大半はポケットが付いていないのよ」

ボケっと生活してるとポケットがないという発想に至らない。

青い渚に浮き足立つ

恐竜が現代に生きていたら

我々人類がレザーや食糧として結局絶滅させることになったのだろう。皮肉な話だ。

火星の天気

毎日火星の天気を教えてくれるNASAのWebサービスがある。

アメリカなのに摂氏でも表示可能とは、なんたる優しさ。

本日の最高気温が-13度とは、なんたる厳しさ。

閏日

山や海、体育を祝うのに、4年に一度しかこない閏日を祝日としない国家が非常229い

イカがごみ問題を救う

イカの吸盤には尖った歯のようなギザギザがついているが、なんとこのギザギザ部分のタンパク質を抽出加工すると、生物分解性のあるプラスチック代替品が出来るという。

量産体制が整えば、プラスチックごみ問題を解決できる大発見だ。

かなりエッジは効いているが、嘘偽りないイカサマなしの最新研究結果である。

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