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足跡日記👣§13 オーガニック野菜と対話

 今日も例のごとく質の悪い睡眠をとって、9時前に家を出た。向かうは宮城県村田町。村田町は仙台市と市境を接する里山地域である。原付を1時間少々飛ばした先に、今回の訪問地である村岡農園があった。管理者である村岡さんは、オレゴン州のアルバニーで有機農業を研修し、ファーマーズマーケットに惹かれ、宮城の地で農園を構え、毎週土曜日に定禅寺通りでファーマーズマーケットを開いている。ぼくは仙台近郊で有機農業を営む人々を探していた折、Facebookで村岡さんの事を知り、アポを取って伺った次第であった。

 村岡さんはとても気さくな人で、考え方もぼくと近しいものを持っていた。曰く、”循環”を追究した営農方法で、消費者と対話をしながら野菜を販売する事が肝要とのこと。農地の見学や昼食を含め5時間ほど談話させていただいたが、まさに光陰矢の如く、時間はあっという間に過ぎていった。最後には籠いっぱいのお野菜をいただき、ぼくは心から感謝して農園を後にした。

 対談の中で、ぼくが印象に残ったのは、対話の重要性である。現代ではライフスタイルの変化、それによる外食・中食文化の発展などが相まり、消費者が有機農作物、ましてや農業自体に疎くなってきている。その距離はサプライチェーン的な意味でも、心理的な意味でも遠ざかっている。その中で、村岡さんはあえて卸売には出さず、直接消費者と対話する機会をつくっている。そして消費者と対話する時、消費者理解がより深まったり、消費者の意識変容をより促す事ができていると実感するのだそうだ。

 ぼくはこれを、今まで自分がやってきたアクションと相照らして考えていた。これまで様々な形態でアクションを行ってきたが、オンラインで不特定多数に向けたアクションより、対面で特定の対象者に向けたアクションの方が、相手をよく理解でき、意識や行動変容を促せた気がする。そして目的は違えど、村岡さんのファーマーズマーケットと共通するものは”対話”だった。「俺が一人でやっていても、その先が繋がらなければ大きくはならない。」と村岡さんが言っていたように、運動の環についても、見る人にインプレッションを与え、自分も参加したい、友人・知人を呼び込みたいと思わせる運動でなければ拡がらない。

 調査研究の傍ら、そんなあれこれを頭の片隅で思案していた一日だった。

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