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No.5080『大鏡』

なんですか、大鏡って。
ランダム単語ガチャエッセイチャレンジ2日目にして知らなすぎる単語が出た。しかし、引き直しはなんか悔しいのでそのまま雰囲気で書いてみようと思う。

No.5080『大鏡』

鏡は不思議な力を持つものとして、国内外の文献に描かれていた。現世と霊界と繋ぐだとか、映ったものの本当の姿を映すだとか。日本ではそういった迷信が有名だ。

鏡と物語、というテーマで思い出されるのは幼い頃によく読んでいた童話『白雪姫』である。
大きな鏡の前で美しいお妃様が問うのだ。
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
それに対して魔法の鏡は答える。
「それはお妃様です」
お妃様は自分の美しさを再認識して満足げにする。

この「Hey,Siri」のはしりみたいなやりとりは、白雪姫といううら若き乙女の登場によって『お決まりのアレ』感がなくなり、嫉妬に狂ったお妃様は老婆に姿を劇的チェンジさせてまで白雪姫に毒を盛りに行く。
そこから、『(この手の物語の打開案に)理解ある彼くん』こと王子様の登場により、仮死状態だった白雪姫は真実の愛のキスにより息を吹き返し、彼くんと幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし、みたいなかんじで物語は終幕。

幼い頃は「しらゆきひめ、かわいそう」「おきさきさま、こわい」「このえほん、いろがたくさんできれい」くらいしか感じていなかったのだが、よくよく考えると奇妙なところがたくさんあるよなぁ、とこの文章を書きながら考えた。
以降、28歳の私による童話『白雪姫』の考察です。

①魔法の鏡はただのでっけ〜鏡だったのでは?
ファンタジーにしたってそんな美醜ジャッジをしてくる大きな鏡って失礼すぎない?
もしかしたら、お妃様は鏡に映る自分へ「うんっ!今日の私も可愛いっ!」と微笑んでから自宅を出るタイプの田中みな実的マインドで鏡を覗き込んでいたのではないだろうか?そして乾燥がひどい冬の朝などに鏡を見て、自身の隠れ小ジワに気づいて焦ったところに新人インフルエンサー・白雪姫の広告動画が飛び込んできて、その美貌に嫉妬した……みたいな。
人を恨んだり妬んだりするのって、結構自分のメンタルの荒れ具合とかタイミングによらない?現代超解釈的には良い線いっていると思う。

②どうしてわざわざ老婆に姿を変えていたのか?
いろんな選択肢があった中での『おばあちゃん』という絶妙なチョイス。おそらく、初対面の白雪姫の警戒心を解く必要があり、確実に毒林檎を口にしてもらうためだとは思う。「おばあちゃんが持ってきてくれた林檎」から想像できる青森の実家からわざわざ届けてくれた感は半端なく、そりゃ「まあ!美味しそうな林檎!いただきます」となるわけだ。
ここで男性であっては、年頃の女性の家に訪ねてくる時点で不審だし、同い年くらいの女性であっても「何かのセールス」感は否めない。「この林檎、実はただの林檎ではないんです」事実なのに嘘っぽく聞こえてしまうもんな。

③そういえばお妃様ってどうなったの?
これが全然思い出せない。「ハイホーハイホー仕事が好き」と歌いながら働く社畜の小人たちとか、キスで蘇生するわけないとか、そんなことよりもこれが一番気になる。
調べてみたところ、基本的な童話『白雪姫』では、
帰宅した小人たちが倒れている白雪姫を発見、逃げていく老婆(お妃様)を追いかけていく
→お妃様は小人たちを殺そうとする
→偶然雷がお妃様の足元に落ちて谷底に落下
→死
といった流れらしい。たしかに、幼少期の頃ディズニーランドで乗った『白雪姫と七人のこびと』はそんな不穏なシーンがあった気がする。ギャン泣きしてうっすらとした記憶ではあるが。

照明足りなくない?音楽に対して映像怖すぎない?

原作のエンディングではこうだという。
生き返った白雪姫に王子様は求婚し、ふたりは結婚
→婚礼式が行われることになり、隣国の女王であるお妃様も招待される
→「あ!あいつ白雪姫を殺そうとしたやつだぜ!」となる
→石炭の上で真っ赤になっている鉄の靴を持ってきてお妃様に履かせ、倒れて死ぬまで踊らされる
→死
人間が思いつく上で一番怖いオチだと思う。熱した鉄の靴て。シンデレラのガラス製の靴と素材・温度が変わっただけでこうも恐ろしくなる?落雷による事故死のほうがいいなぁとなるよ、そりゃ。

童話『白雪姫』における教訓は、「ねたみや嫉妬といった負の感情は、結局自分自身を苦しめることになる」というものだと思う。良い子のみんなは回り回って恨みを買って、熱々鉄靴タップダンスを死因にせぬよう、美醜や才能の差などに捉われすぎないように。

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