見出し画像

信仰、観光、健康

 高野山がある和歌山県高野町が“観光税”の導入を検討していると報じられた。

 なるほど、金剛峯寺は拝観料や御朱印の収入があるし宿坊もばっちり売上を得ているのに対して、公衆トイレなどを整備する町の税収にはつながっていないのだ。観光で生き延びようとする自治体が多いなかでオーバーツーリズム問題への対処は大切。「持続可能な観光地にしたい」という町長の弁は理解しなければならない。2028年4月までの導入をめざすという。

 どういう形で、いくら徴収するのか。マイカーや電車・バスで来訪する人全員に課税するのは徴収コストがかかって妥当ではないだろう。温泉地の「入湯税」のように宿坊の宿泊費に100円程度を上乗せするのが妥当なのか。

 とっさに考えた。「観光客から徴収するのは仕方がないとして、私のように信仰をもって参拝する者は観光客扱いせずに免除してほしいなあ」。

 しかし、適用のハードルは高い。

 バスを連ねてやってくるおじさんおばちゃんの団体は観光客なのか、それとも信仰心から参拝する者なのか。バックパックを背負った外国人にも信者はいるだろう。「信仰心の有無」をどう判断すればいいのか。

 「般若心経を暗唱できるかどうか」のテストを課して「パスしたものは免税」というのは面白いが、現実的ではないな。弘法大師の画像に足を乗せられるかどうかの「踏み絵」の登場か?いや、これだと観光客も「私にはできません!」ができちゃうのか(笑)

 弘法大師ゆかりの88カ所を巡る四国お遍路の魅力を「信仰・観光・健康の“3コウ”」と表現することがある。なかなかうまいことを言うもので、そう、参拝のために高野町まで赴いてキレイな空気にホッとする私だって“観光気分”がまったくないわけではない。

 まあ何千円も課税されるわけでもないだろう。高野町の苦境を理解して気持ちよくサポートするのが高野山信仰を持つ者の正しい姿なのだろうな。
(24/3/3)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?