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“歌手の個性”はここに出るのだな

 八代亜紀さんの訃報は9日の夕刻にスマホの速報で知った。73歳か。女性の平均寿命が80歳を大きく超えているいまの日本では「まだまだ若い」ということになるのだろう。闘病中であることも存じ上げなかったが子どもの頃から知っている歌手の死去はなかなかビックリさせられる。

 現在60歳の私。私にとって八代さんは、ものごころついた時から貫禄十分にテレビで歌っていた方なので「え、13歳しか違わなかったのか」と思う。17歳の大学生にとって30歳の歌手はものすごく遠い大人だが、60歳と73歳は「誤差の範囲」でしかない。

 すぐにApple Musicで八代さんの歌を検索してみた。「舟歌」「雨の慕情」あたりが代表曲ということになるわけで、なるほどよく聴いた記憶がある。
 
 ほかにもさまざまな歌が載っている。
 
 沢田研二のヒット曲「時の過ぎゆくままに」をカバーしているのを発見してこちらも聴いてみると、これがなんともいいのである。ジュリーの歌声で脳内再生されるあの歌を八代さんが歌っているという意外感もあり、それでも声の質や歌い方のちょっとしたクセはまさに“八代亜紀ワールド”していて、サビのパートではしっかり聴き入ってしまう。「ああ、これこそが“歌手の個性”なんだなあ」としみじみ思う。

 カバー曲の魅力はまさにここにあるのだろう。中森明菜による「いちご白書をもう一度」も、そのしっとりとした歌声が彼女の歌唱力の凄みを浮き彫りにしていて、震えるほど感動させられたものだ。

 私は「音楽がなければ生きていけない」という感覚とはまったく無縁な半生を過ごしてきた。いま聴いているApple Musicも新しいiPhoneのオマケで「6カ月間無料」がついてきたから使っているだけだ。
 
それでも、こうした“発見”は人生を豊かにしてくれる。無料期間が終われば毎月の課金は1080円か。悩ましい。

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