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美容院恐怖症

美容院が怖くて行けなくなってからだいぶ経ってしまった。子供の頃から美容院は苦手。身なりを整えて世間に溶け込むためになんとか自分を奮い立たせてこまめに行っていたけど、恐怖が勝るようになってからはすっかり足が遠のいている。


希望のヘアスタイルを伝えるのは私にとってはハードルが高い。こんな感じでと写真を見せたりするのはなんだか恥ずかしくてできないし、「おまかせで」とオーダーする勇気もない。ヘアスタイルにこだわりがなく世間に馴染む感じならばなんでもいいので、〇センチくらいカットしてほしいと無難にざっくりと美容師さんが困らないようにオーダーする。たまにカウンセリングが丁寧な美容師さんにあたると冷や汗をかく。丁寧なカウンセリングに対応できるコミュ力は私にはないのだ。


カット中は話しかけないでオーラを全開にして雑誌を読む。でも、周りの目が気になって実際はほとんど読めていない。他のお客さんと談笑していた美容師さんが、私のところへ来たとたんスッと無言になるとなんだかちょっと傷ついて、同時に申し訳ない気持ちにもなったりして気持ちがせわしなく動いてぐったりする。


以前行った美容院は、洗髪はオートシャンプーという機械でやっていた。「大きい音がしますけど大丈夫ですか?苦手なら手洗いもできますよ」と言われ、大きい音は苦手だけど美容師さんの仕事を増やすのは申し訳ないと思い、機械で大丈夫ですと答えてしまった。全然大丈夫じゃないのに大丈夫と答えてしまうのは昔からの癖だ。機械をセットしてもらい、洗髪が始まると予想を超えたかなり大きな音で私は大パニックになった。動悸も激しくなりもう無理かもしれないと思いながらも、美容師さんにそれを悟られるのは恥ずかしいと思い平静を装ってなんとかクリアした。


髪を乾かしてもらっている最中、「この後出かけたりしますか?セットしっかりめにやります?」と聞かれると焦る。私は声が小さいうえに全く通らない声質だ。自分なりに大きな声で答えてもドライヤーの音でかき消されてしまいへんな空気が流れて嫌な汗をかく。そして出かける予定なんてないのに謎の見栄をはって「予定があるので、しっかりめでお願いします」とつい言ってしまう。


すべての工程が終わって鏡を見た時は、綺麗にしてもらったウキウキ感とやっと美容院から解放されるといううれしさで飛び上がりそうになる。帰り道ではへんなことを言わなかったかな・・あの時あぁ言えばよかったな・・とか一人反省会が始まり、寝る前までずっと考えて疲れ果てる。


セルフカットできればいいなとyoutubeを覗いてみるけど不器用な私にできるわけもなく、いつか行かなきゃなと思いながら予約サイトを眺めている。

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