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手紙の書き方を学べ   三島由紀夫先生の息抜き?

こんにちは。

本屋に行き、文学コーナーを覗きますと、必ず三島由紀夫先生の本があります。様々な名作を残され、夭逝されたわけです。

『金閣寺』を読みますと、厳かな文章力の美の渦中で、身動きが取れなくなってしまいます。

『潮騒』を読みますと、サラサラと流れる青春の香りが、過ぎ去った青春への憧憬を駆り立てられ、自分の青春の哀れさに泣訴してしまいます。

と、各々が持つ感情がありますが、三島由紀夫先生の文学は、なかなか手厳しいものがあると思います。

ですが、そんな三島由紀夫先生の作品の中で、ちょっぴり甘い本があります。

『三島由紀夫 レター教室』  ちくま文庫

登場人物の紹介。

氷ママ子 (45歳)未亡人の元美人。
山トビ夫 (45歳)ママ子のボーイフレンド。
空ミツ子 (20歳)氷ママ子の英語教室のかつての生徒。
炎タケル (23歳)芝居の勉強をしている、大真面目で理屈っぽい青年。
丸トラ一 (25歳)ミツ子の従兄弟で大学を3年留年中。まんまる太っている。

と、上記が登場人物です。三島由紀夫先生の小説には珍しく、最初に登場人物の紹介から始まります。

各登場人物の、手紙のやり取りのみで物語が進んでゆきます。

非常に短い章で、登場人物の心情が縦横無尽に動いてゆきます。

・古風なラブレター
・有名人へのファンレター
・愛を裏切った男への脅迫状
・身の上相談の手紙
・妊娠を知った男への愛の手紙 
・悪男悪女の仲なおりの手紙

と、適当に抜粋しましたが、どうです? 興味をそそられるでしょう。

三島由紀夫先生独特の言葉回しで、時には手紙の相手を賛美したり、時には皮肉ったり・・・。テレビ顔負けのドラマがあります。

息抜きには、ぴったりの一冊だと思います。手紙の書き方を学べるかは、読者のセンス次第。
三島由紀夫先生の意外な一面を垣間見れるかも知れませんよ。


電車で読み返してましたら、面白おかしく、表情がはみ出したシュークリームのように、にやけてしまいました。しかしながら、幸か不幸か、マスクをしていましたので、怪しい男がいると通報はされませんでした。良かった、良かった。


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花子出版    倉岡

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