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プリン・ア・ラ・モードに会いにゆく〜No.61「喫茶チェリー」〜

2024年1月24日訪問

 息子の進学先が決まり、彼は春から一人暮らしをすることになった。学生寮争奪戦に参加してみたが見事に落選。物件探しや家電選びなど、やらなくてはいけないことがあまりにも多すぎて、既に憂鬱である。他にも懸案事項がいくつか出てきて、私の人生は今まさに盆暮れ正月がいっぺんに来たのでは?!と震えている。寒波も来たし、お布団かぶって寝ていたいのだが出かけた。

 今回のお店があるのは蒲田。このお店のプリン・ア・ラ・モードは、実はメニュー表に無い“裏メニュー”。でもそのボリュームとビジュアルで、通常メニューより有名になってしまったという一皿である。事前に見知った限りでは、完食のハードルが高い印象を受けた。ヨレヨレ中年としては、体調を整えお腹を空かせて挑む必要があるなと思い、なかなか足が向かないでいたのだ。
(なぜ、そこまでして…)

 タイミング悪くお昼時にさしかかってしまい、店内が混んできていたがダメ元でお願いしてみる。
シブすぎるマスターが
「ランチタイムだから、少し時間がかかっちゃうけど…」と申し訳無さそうにおっしゃるので「大丈夫です!待ちます」とお伝えしたら「あとね、ドリンクも必ず頼んでもらうことになってるの。単品はダメなんだけどいい?」とのこと。
「もちろんです。コーヒーをお願いします」と答えたら、安心した様に少し声を落としてマスターが言った。
「これ(単品での注文不可)を言うとね、帰っちゃうお客さんがいるから…」

…な、なんだってーー?!
そんな人が居るの???

と、驚いてしまった。
ここは、コーヒーを出すいわゆる普通の喫茶店である。例えば体質的にコーヒーを飲めないにしても、他のドリンクメニューも色々あるのに頑なに拒む理由が全くわからない。ものすごく高いのかしらと思ってメニューを見たけど、コーヒーは400円なのだ。ますますわからん。コーヒー紅茶に、故郷の村を焼かれでもしたのかい?
 ここから先は私の推測だが、元々裏メニューにしていた時点でサービス価格=利益は無い…どころかむしろマイナスなのだろう。古いタイプの喫茶店ではよくあることだ。お客さんに喜んでもらいたいという気持ちが、そこにはただ溢れているだけ。そこに魅力を感じ、言い方は悪いが乗っかっちゃえ!乗っかって楽しんじゃえ!!と思うのならば。最低限のお店に対するマナーは、わきまえるべきではなかろうか。このnoteでは、あまりネガティブなことを書きたくないと思いこれまでやってきたが、今回この件だけは声を大にして言いたいので敢えて書き記す。コスパ最強!などと、浮かれた煽り文句に釣られて下品な振る舞いをお店に対して行う輩を、私は断固軽蔑する。
 それこそ、お前の頭の中のお花畑に火を放って焼き払ってやろうか…ええい、首を洗って待っておれ!!無礼者め、そこへ直れーーーー!
と、脳内が時代劇モードになりかけた所へ、本日の主役が登場。

この瞬間が、好きなのだ。この一皿を前にして笑顔にならない人が居るだろうか?いや居ない。
驚きと嬉しさと、楽しさしか詰まってないのだ!

ある程度食べ進めて、やっとプリンが見えた。後で伺ったら、このメロン型の器に直接プリン液を流し入れて作っていらっしゃるとのことなので、オーブンや蒸し器を使うのではなく冷蔵庫で冷やし固めるタイプなのかもしれない。とろっとしてかなり柔らかなクリーミーなお味だった。

順調に食べ進め、そびえ立つパイナップルを外したら、たっぷりのアイスクリームが現れた!一瞬ひるんだが、美味しいので問題なかった。

今まで食べたガッツリ系プリン・ア・ラ・モード(No.12No.17No.26)の中では比較的完食しやすいと感じた。当社比ならぬ当腹比。

マスターが伝票を置きに来た時に「ゆっくりしていってね」と仰ったのが、すごく心地よかった。

かわいい赤のシュガーポット。

壁やソファなど、店内に赤いものが多いのに落ち着いた不思議な空間。

裏メニューのプリン・ア・ラ・モードのお値段は800円(税込み・訪問時)ですが、必ずドリンクのオーダーもお願いします!!(圧)

☆喫茶チェリー
東京都大田区蒲田5丁目19−8
最寄り駅:JR線及び東急線蒲田駅


貴方のサポートが、プリン・ア・ラ・モード保全運動(?)の力になります。 次は貴方の街のプリン・ア・ラ・モードに会いにゆくかも?!