過去話_06

#6 閉ざされた町、震災から生まれた未来

こんにちは、半兵衛です。


06話 ―― 2011年3月12日 8時~14時30分

覚えている方はいるだろうか。

15時36分。
福島第一原子力発電所の1号機建屋が水素爆発した。それにより、大量の放射性物質が外へ流れた訳だ。


8時。
公民館に着くと地区の人々が集まっていた。狭い町の一地区だったため、ほとんど知っている顔でした。
中には、中学以来会っていなかった友達に会えたので、話も弾みました。

すると、町内放送が流れる。内容としては、福島第一原子力発電所に異常があるので地区ごとにバスに乗って近隣の町へ移動するというもの。何が起きているかわからないわけです。ライフラインは途絶え、情報はないのだから

このとき起きていたのは、一つの町(1万人)の人間を移動するということ。

唯一できることは、待つことだけ。
バスは一向に来ない。遠目に移動するバスは、公民館からも見えました。時間は5時間が流れ、13時に。ずっと、外で待っているだけなので疲れる一方。更に、3月ということもあって寒かった。町民の半分以上がバスで町外へ移動していたと思う。
待ちくたびれた人々の中には自家用車で移動する人もいた。そのせいで、円滑にバスは動かず悪循環。

13時30分
このころは町内放送が、5分間隔で流れていた。いつもの女性の声色は、険しく焦りを感じさせる。今まだ、公民館にはバスは来ない。

14時
ほとんどの町民が移動したと思う。町内放送はもう流れっぱなしだ。

「早く逃げてください。早く!」

この時の異様な感覚は今でも覚えている。8年経った今でも思い出せる。
興奮した町内放送は我々を不安にさせるには十分だった。

14時30分
ようやくバスが、我々の待つ公民館へやってきた。バスに乗り込み一安心。

それにしても、どこへ連れていかれるのだろう?




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