むかしね、シゲタカヨコってオンナがいたんですよ…
信じられないくらい欲求にストレート、痛い目みてもすぐに忘れる、もしかしたら物事の「良い方」を見るのがめちゃくちゃ上手くて、前向き過ぎる才能があったのかもしれない。
男と別れて恋をして、危ない橋を渡ることを繰り返し、ていうか、彼女の人生こそが危ない橋の上！
ウェディングドレスで「彼氏欲しい」と言ったオンナ。
それが、シゲタカヨコ。

結婚して「タカハシ」になったんですけど。
それが安野モヨコ先生「ハッピーマニア」主人公、シゲタカヨコ。

元彼のお姉さん（会ったことはない）がモヨコ先生のファンだったということで、その影響で読みました。「ハッピーマニア」
ハタチ過ぎくらいのときですかね。
ぜんぜん理解できませんでした！
シゲタ、やべぇヤツじゃん。
元彼（であり初彼）からハタチで借りるにはハードルが高すぎたよ…

いやでもね、そのね
シゲタの物語の続きが読める「後ハッピーマニア」って漫画があるんですよ。

いやーーーなんでかなーーーーーー
買っちゃったんだよねーーーーーー

基本的に、モヨコ先生が好き（おとなになって良さがわかった）というのもあるんだけど、気になるじゃないですか。
あのカヨコさんが45歳になって帰ってくるんですよ？
それも、タカハシと別れるらしい！（っていうか、まだ結婚してたんだ…）

買っちゃうよね〜〜〜もちろん4巻（最新刊）も爆速で買いました。

ハタチで、カヨコを「宇宙人だ」と思ったわたしも、いまは35才。
でもまたさ、カヨコは45才で暴れまくってくれるワケ。
もう、なんだか嬉しいじゃん。

相変わらずのカヨコに安心して、ちょっと泣いた。
わたし、コイツよりマシだって思えたら
世の中のぜんぶ、どうでもよくなって
健やかに生きれるような気がした。

あーどーーーぞ最低とでもなんでも言ってくれ！！！
自分よりダメなヤツを見て落ち着きたいときもあるんだよ！
ありがとうカヨコ！
オマエの戦いの記録は忘れない。
今からここに書いておくからな！

じゃ、後ハッピーマニア4巻感想文はじめます！

１．自らたかられてるスタイル

もーね、わかってンの…
20代のヤングじゃないから。
何がいけないか、ヤバイか、だいたいわかってンの。
それはカヨコだけではなく、目の前の男（モテ男）も同じ

もーーーずるいじゃん、
「ビール買ってきて」て言われてイラッとしたのに
「本当なら…俺が買ってくるべきだな」とか、しゅんとされちゃうと、買いに行っちゃうのよ。

バカなの！　自らたかられていくスタイル！
喜んでお惣菜も買ってしまうカヨコ
自分でもわかってンだよな…

２．今の私　おめんオブザイヤー

カヨコの親友（あるいは唯一の友人）フクちゃん。
常識人で苦労人。
見栄っ張りなので、損をするタイプ。

今回のフクちゃんのミッションは、ヒデキ（旦那）を魔女から取り返すこと。
最近は外泊も減り、家に帰ることが増えたヒデキ。
それなのに、いたらいたで「なんか…ちょっと邪魔…」これな！！！
これはもう、古今東西きっとそう！
わかる、わかるぞフクちゃん。
でも、当初の目的を忘れないフクちゃん。

わかりますか、このフクちゃん！！！
にっこり笑ったりしながら言っちゃうやつね。
「言ったほうがいいこと」を言っちゃうやつね。
いやいや大事だよ。
わたしはね、フクちゃんを応援しています。
隣にいたなら、わたしがコーヒーを淹れて差し上げます！

そして「今の私　おめんオブザイヤー」となるフクちゃん…
あんたエライよ頑張ったよ…
おめんね、必要なときあるんだよね。
帰ってきて嬉しいっていうか、向こうにいるのがムカついたっていうか、なんか、感情がもっとカヨコみたいにストレートだったらよかったのにね。
わたしはフクちゃんが大好きです。

３，夫があなたで浮気相手が三島くんがベスト　私にとって

田嶋嫁（表紙の美人）がね、せりふが全部ヤバイ
まず、嘘の吐き方が天才的だから見て欲しい。

「上手な嘘」をつくコツってね、「真実を少し混ぜること」っていうのはよくある話で
わたしも得意なほうだと思ってたけど
田嶋嫁はスゴイ、もうこれはね演技ですよ。大女優。
演技だと思ってない系の演技だから。自然に。息するように嘘をつく。
でも、嘘だと思ってないっていうか、もう境目がエンドレスグレーすぎる。

登場の仕方もヤバすぎるから、ぜひ読んで欲しい。

そしてこの、

これね。
今回の背表紙にも書いてあるコレね。

ねえこれ、どう思う？？
人前ならさ「最低なオンナだね！」とか言っとく？
わたしはね、「わかる！！！」って思うワケ。
だってさあ、言葉にすると最低だけど、ひとりじゃ足りないんだよ…
ひとりずつが支え合うのって、限界がある。
だから友達がいるわけでしょ。とわたしは思うんですが、どうですか？
で、誰かが「友達」じゃない肩書きになったってしょーがないじゃないですか…ダメ？
浮気してるわけでも、されたいわけでも、された
ら許せるわけでも、推進したいわけじゃないんですけど。

本音は、理性と違うところにある。
はずなのだが、田嶋嫁は本音で言っちゃうんだ

わたしは、田嶋嫁が好きだ。
友達になりたくはないかもしれないけれど。

だって、すなおじゃん。嘘は吐くけど。すごい矛盾だけど
「自分に」すなおじゃん…
誰かに後ろ指さされるかもしれないけど、わたしは最後まで「うん、わかる…」って言ってるから

４，僕も……フルーツとヨーグルトにするから

なんていうか、タカハシも昔からあんま変わってないんだよな。
猪突猛進で思い込みが激しい。
良くも悪くも前向きが過ぎる。

4巻では詩織ちゃんとの新生活をはじめるタカハシ。
「朝は…フルーツとヨーグルトがいいの」という詩織ちゃんに「カワイイ」なんて思っちゃう、相変わらずのタカハシ。
昔からそう。
アンタは相手になんでもしてやりたいって顔をしながら
自分のテリトリーにずぶずぶと”染めてゆく”スタイルね。おそろしい！

そして、フルーツとヨーグルトじゃ足りなくて、朝のコンビニでおにぎりを買っちゃうタカハシ。
ねえ、朝ごはんって別々に食べたらダメですか！！？？

「人に対しての許容範囲が狭くなっていた」って言っている詩織ちゃんには激しく同意だけど
たぶん、そんなことないで…
誰かと暮らすって、ある意味「自分のテリトリーを侵害される」ってことだから、人類の半分くらいは「あ、自分って案外心狭いな」って思ってるはずだよ…
ちなみにわたしは、今でもめっちゃ思ってる！！！

５．カヨはなんでかーちゃんにシットしねーの？

最後は、フクちゃんの息子「よーじ」のひとこと。

ハッピーマニア時代から約二十年
女社長になったフクちゃん。
息子も高校生になりました（スゴイ）

で、よーじからシゲタへの質問。

「うーん」と言ってからの、シゲタの回答はこちら

後ハピって作品は本当にオモロイ。

でも、すなおにいちばん「好き」なシーンがここだった。
カヨコがどうしようもないやつで
フクちゃんが、毎度正論をぶちこみながら傷ついているのとか
そういう「物語」は確かにオモシロイんだけど、
それだけじゃなくて、
シゲタと、フクちゃんの根幹がここだから、「好き」でいられるんだと思った。

見えっ張りなフクちゃんは、たくさん平気なフリをしたでしょう。
「当然」って顔をして、努力しているところを見せずにいたら、嫉妬もされたでしょう。
「努力したはずなんだよね」っていう言い回しが、またぐわりと響く。
別に、シゲタだって何かを見てたわけじゃないんだよ。たぶん、見ててもよくわからなかったと思うけど

あと、よーじの言葉が「あ、シットするのってフツーなんだ」って思わせてくれたのにも安心した。
わたしはさ、シットをさ、うまくいい言葉で、それこそ「アイツのほうが努力したし」みたいなきれいな感情で丸め込もうとしていたけど。
シットはシットでいいのかもしれない、と思えた。

まあ、いちばん好きなのは、めっちゃいいこと言ったあとの、どーしよーもないカヨコかもしれないけど…

（さいごに）異世界転生に飽きた諸君へ

最近、異世界転生モノ多いじゃないですか。
わたしもめっちゃ好きなんですけど。
もちろん、自分の転生先も決めてます（オラリオの予定です）

これはね、異世界転生の逆っていうか
転生の逆ってなんだよって感じだと思うんだけど
異世界転生って、「こういう世界戦オモロそうだな」って感じだと思うんだけど
後ハピは「こういうふうになりたくない」っていうか（失礼）
でもみんなこうなってんだよ！
どこかで心当たりある。
わたしはめっちゃある。

リアル。超リアル。
下手したら汚い

こんなヤベー友達はいないし
こんなヤベー出来事は相当ないっていう
現代版「ヤバイ絵巻」

でもこれは、潜んでる。
すぐそこに潜んでるんですよ。
親しい友だちにも言えないような、毒々しさや、心をの裏側を「暴いてる」
だから誰もがどこかに共感する。
「誰もが」っていうのは言い過ぎかもしれないけれど。

後ハピに「救われちゃう」人種っていうのが、きっとどこかにいる。

もし人生に"スパイス"必要だったら、後ハピ読んでみてください。
良い方向にというか
あなたの本音のほうに導いてくれると思います。

ていうか、シゲタよりはマシ！
だから大丈夫だ！！！

カヨコさま、フクちゃんさま
これからのご活躍も末永く楽しみにしております。
骨は拾ってやる

書いたの2年前だからちょっと恥ずかしいけど