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【読書】恩師お勧め本を10年来に読んだ〜夜は短し歩けよ乙女

今週は、「夜は短し、歩けよ乙女」を読んだ。

中学生の頃、私は大尊敬していた先生と交換ノートをしていた。
その交換ノート内で、恩師がお勧めしてきたのが、この本だった。

あれからほぼ10年…
10年越しにやっとこの本を読んだ。

率直に言えば、難しい本だった。

古文を読んでるようで、スッと文章が頭に入ってこない。単語や言い回し、比喩表現が独特だった。

また、2-3ページごとに節が区切られているのだが、節ごとに「私」が変わるのだ。一人称の「私」の中身がまさか変わっているとは思わず、それでもなんだか話が噛み合わない…そゆことか!と気づくのに時間がかかった。

流れるように読み進めると、途中でまた「私」を見失い混乱することが何度もあった。

古典的だからこその良さ

2008年初版刊行だが、本書は文体だけでなく物語自体が古典的だ。

300円で超豪華なランチが食べられたり、10万円の賞金に人々が飛びついたり、60歳の男性が超老人のように描写されたり…

だが、メールという文化はあるため時代設定はよくわからない。

そして何より、登場人物たちが全力なのだ。

後輩に想いを寄せ、なんとかもう一度会うべく、外堀ばかりを埋めようと策を尽くす先輩。ニアミスばかりでなかなか会えない。

この先輩と後輩が「私」として交互に語りながら、徐々に再会に近づいていくのがこの物語の楽しいところだ。

想い人に再び会えるためならどんな策でも行う。
パンかご飯か、どうでも良いことに真剣に議論を交わして熱くなる。

一途に、大切に、人を想う。
誰にどう思われようがやり抜く。
全力で生きる。

この馬鹿馬鹿しいような全力さが、非常に面白かった。

わからない表現も沢山ありかなり辛抱して読んだ。恩師が勧めてきただけの面白さがあるはず、その一心で読んだが、読み終えてよかったと想う。

そして、恩師との交換ノートを10年ぶりに読み返した。恩師はなぜこの本を進めたのだろうか。

好きな人に再び会おうとする先輩と、それに全く気づかない天然の後輩の恋のお話。ほっこりするよ。

交換ノート内の恩師の紹介文

なるほど、恩師はこの本を「ほっこりする」と感じたのだな。作者の森見さんの書く世界観が大好きと言っていた恩師。

この本をきっかけに、久々に中学時代の自分や恩師との思い出を振り返れたのもよかった。

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