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【読書】家族が呪縛にならぬように(愛されなくても別に)

フッ軽と貧乏性が相まり、列車で3h未満なら新幹線を使わず列車を使います。先日も列車で近隣県まで移動しながら、この「愛されなくても別に」という本を読みました。
(ネタバレなし:ストーリーには触れないが作中の会話文引用)

テーマは「愛」「家族」

物語には、3人の大学生が出てきます。それぞれが母親と何かしらの問題を抱えています。

①母親との関係に違和感を覚えつつも、「家族」が呪縛になり、母親に生活費8万円を渡すためにアルバイトしまくる主人公、②母親の異常さを感じ縁を切って一人暮らしをしているバイト先の同僚、③母親の異常さを訴えるも自身の孤独さ故に現状を変えようと行動には起こせない大学の同期

家族とは、世で最も小さく、そして最も身近なコミュニティである。「家族」はかけがえのない存在であるが、時に「家族」という存在が免罪符になり、「許してあげなきゃ」「家族がこう言うんだから」と無理やり自分を言い聞かせたことはなかっただろうか。

許すかどうかは、自分がどう思うかだよ。

作中江永の言葉(「愛されなくても別に」武田綾乃)

このような言葉が出てくる。
家族だからと許さなきゃいけないわけではない。自分がどう感じるかだ。

自分より不幸かどうか

また、主人公は、自分は世界一不幸で、常に自分より不幸かどうかで相手を判断する。

あるとき、「あなたより不幸じゃなきゃ不幸って思っちゃだめなの?」と言われる。

これも、先ほどの自分がどう思うか、だ。

私の場合

家族とは仲がいい。祖父母・いとこ家族と3家族で1シーズンに1度は食事に行く。高校時代までは、この仲のいい家族が大好きだった。これこそが家族だと思っていた。

だが、大学生になり、実家暮らしで未だに土日の行き先や帰宅時間を伝えることに、一人暮らしの同級生とのギャップを感じるようになった。コロナ禍では県外旅行を禁止され、次第に家族からの愛より呪縛を感じるようになった

もちろん、学費も払ってもらい大学まで行かせてもらった。恵まれてる、感謝しろ、と言われたらその通りかもしれない。

今は、社会人になり一人暮らしを始めた。家族と少し距離ができたことにより、これまで当たり前に感じていたことに感謝できるようになった。守られた場所で不満を抱くより、少し孤独になろうが一人暮らしを始めたことは非常に良かったと思う。

家族問題に限らず

私は、なんでも客観的に見ようとする。揺るぎない自分軸もないせいで、他人からお墨付きをもらいたがる。

何に関しても、自分がどう思うか、もっと自分を信じてみたいと思った。

愛だけでない、「処世術」のお話

家族とは違った形の物語を見つける作品は多くありますが、本書は特に、「生き抜く術」を見つけ元気をもらえる作品だと思います。

家族に守られてるだけでは生きていけない。
他人と深い関わりをもつことで、人は孤独ではなくなる。この他人は、家族でも恋人でも、友人でも、誰でも良いのだ。

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