- 運営しているクリエイター
記事一覧
八首抄 令和6年1月号
高貝次郎選
淡淡と咲いてくれたね藤袴アサギマダラは来なくてもいい高田 香澄夕星が次第に離れゆくごとく遠くなりゆくいとこはとこら臼井 良夫西の方群青色に浮き立ちて秩父連山しづしづと秋佐田 公子入道雲・うろこ雲またひつじ雲空一面の空の欲ばり井手 彩朕子ひぐらしの涼しき声を聞きながら心の秘密かみしめている北岡 礼子放棄地に囲まれ揺るる蕎麦の花耕す人のいるは喜び髙橋 律子なんという巨大な魚のウロコ雲わたし
八首抄 令和5年12月号
宮本 照男 選
ただ独り昼の電車に揺れながら知らないひとの傍へに座る
臼井 良夫
ながながと止まらぬ愚痴の電話切るさよなら私は聖母ではない
高田 香澄
新しいシャツのタグを切り落とし淋しき朝の始まりとする
森崎 理加
秋風が夏の火傷にそっと触れ、宥めるように木の葉をゆらした
鎌田 国寿
ATMの暗証番号忘れたりのっぴきならざる峠越えなん
田口 耕生
我が事を祈った最後はいつの日か母にな