読書レポ|伝える準備
藤井さんの言葉は“おにぎり”だ
温かいご飯に、ちょうど良い塩加減の鮭のほぐし身を入れて、ふんわり優しく握る。
そのおにぎりを笹の葉のうえに、そっと載せてくれる。
読み終えて、最初に頭に浮かんだイメージ。
伝える準備
藤井貴彦 著
伝えることや言葉に対するストイックな姿勢はいかにもアナウンサーらしく、伝える言葉を選ぶための準備に余念がない。
その準備の一つに「五行日記」がある。
毎日の出来事や感情を五行で書くというもの。
日記を書くことで、振り返りになるだけでなく、五行という限られた文字数の文章を、やり直しのきかない手書きで書くため、言葉を頭の中から紡ぎ出し練り上げる工程そのものが、伝えるトレーニングになる。
日記は人に見せるものではないので、内容は自由だ。しかし、藤井さんには自身に課しているルールがある。
「他人を傷つける言葉は使わない」
僕が藤井さんの言葉を“おにぎり”と形容したのは、この姿勢にある。
言葉は相手を傷つける武器にもなる。
刀のように鋭く尖らせ、急所に向かって力強くぶつけることで相手を論破し、自らの地位を獲得しようとする人もいるだろう。
しかし、藤井さんは違う。
「自分の発した言葉が自分をつくる」と考え、自分の未来のために選んだ言葉を相手に伝える。
それができるようになるには、伝える準備が必要だ。
アナウンサーの咄嗟のコメントがテレビを見ている人の心を打つのは、準備や練習をしているからだと知った。
言葉に対して、藤井さんと同じレベルでストイックに向き合うことは、僕にはできないけれど、伝える言葉に対する姿勢は見習いたいと思った。
これからは藤井アナの言葉にも注目しながらテレビを見てみたい。
めでたしめでたし
立崎直樹
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