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質問をしなくても、相手が課題を話してしまう営業トーク

営業経験が浅い人がやりがちな失敗のナンバーワンは「一方的にしゃべる」です。え!?と思った方は、ぜひこちらの記事も読んでください。

上の記事を読んだ後に、よし分かった。
「話を聞いて、相手の課題に対する解決策を提示すればいいんだな。」と理解したあなた。
意気揚々と営業先に向かいます。

課題を聞くふりをして・・・

例えば、あなたが高齢者施設向けに新しいレクリエーションプログラムを販売する人だとしましょう。

顧客となりそうな、高級有料老人ホームに訪問しました。
あなた:「施設でのレクリエーションにお困りではないですか?運営する人数が足りなかったり、介護職が片手間でやるのでどうしてもクオリティが二の次になってしまいますよね。私たちのサービスは訓練をレクリエーション指導員がお客さまに楽しんでもらえるプログラムを提供します。いかがですか?」

このnoteは介護施設の方がよく読んでくださっているので、こういう営業を”受けた”ことがある人は結構いるのではないでしょうか。
ぼくも何度もこういう営業を受けました。

こういう営業トークを聞かされたぼくの答えは、きまって「大丈夫です。また必要になったらこちらからご連絡します」でした。

忙しかったからでも、必要なかったからでもありません。
むしろこの段階では必要かどうかもまだわからない。
では、なぜ断ったのか。
ここが今日のポイントです。

もう一度、先ほどの課題を聞く問いを読んでください。

「①施設でのアクティビティにお困りではないですか?
②運営する人数が足りなかったり、介護職が片手間でやるのでどうしてもクオリティが二の次になってしまいますよね。
③私たちのサービスは訓練をレクリエーション指導員がお客さまに楽しんでもらえるプログラムを提供します。いかがですか?」

解説しやすいように、この会話を①②③に分けてみました。
①は質問です。③は自社のサービスの紹介です。
②は何でしょうか?課題を聞く質問……と見せかけた課題の決めつけです。
ぼくがこれ以上話を聞く必要がないと判断した最大の理由です。

たしかに一般的には、人数が足りないとか、片手間のレクでは質が伴わないという課題があります。
でも、この施設で当てはまるかどうかはわかりません。
そして、もし仮に当てはまっていたとしても、相手はこう思うでしょう。
初対面のあなたに言われたくない」と。

実際に営業に出るとわかりますが、営業相手がこちらの話を聞いてくれるなんてそうそうありません。ほとんどがアポイントすら取れずに撃沈します。
相手は忙しい時間を割いて、あなた(営業)と話す時間を取ってくれているのです。
それにもかかわらず、冒頭から「お宅の施設は〇〇が課題ですね」と言われていい気持ちがするでしょうか?「何も知らないくせに」という感情が胸の内にわくのが自然だと思います。

課題への提案を焦るあまり、相手の課題を言い当ててしまうのは、ぜったいにNGです。信頼関係ができる前に営業終了です。
営業でまず心掛けるのは、「この人の話をもっと聞きたい」と思ってもらうこと、最後の提案まで話を聞いてもらえるような関係づくりです。

「あなたの話をもっと聞きたい」と思われるには?

どうしたら、あなたの話をもっと聞きたいと思ってもらえるのでしょうか。
話し方教室に通う?
Youtubeで話し方の勉強をする?

もっと簡単で、誰でもできるようになる方法があります。
それが「話を聴く」です。

「人は面白い話をしてくれる人なら、もっと聞きたいと思うものだ」と考える人が大半だと思いますが、実はそうでもありません。
もちろん売れてるお笑い芸人のように、ものすごく話の上手な人の話は、もっと聞きたいと思ってもらえますが、そういう人はごく一部です。

では僕たち凡人はどうしたらいいのでしょう。
人は「自分の話を聴いてくれる人」ともっと話したいと思います。
もし、相手が7こちらが3の割合で話した場合、相手は自分の思っていることをたくさん話したにもかかわらず、「今日はいい話を”聞き”ました」と言います。話したほうが多いのに、です。

売れる営業は話を引き出す

では、営業の時はどんなふうに相手の話を聞いたら良いのでしょう?
質問ばかり続けると、相手は警戒します。
「レクリエーションに困っていませんか?」
「レクリエーションの人数は足りていますか?」
「介護スタッフが順番にレクを担当してるのですか?」

質問が続くと、相手には「なんで初対面のあなたにあれこれ教えないといけないの?」と警戒し、早く話を切り上げようとします。
これでは失敗です。

質問も必要ですが、上手な人は相手が話したくなるように話を向けます

あなた(営業):「明るくて素敵な施設ですね。これだけ立派な施設だとアクティビティも充実しているのでしょうね」
相手(施設長):「ありがとうございます。うちではご入居者さまに楽しんでいただけるようなレクをできるだけたくさん提供したいと思っています。
あなた:「そうなんですね。楽しんでもらうために、たくさんのレクを実施するのはなかなか大変ですよね。すごいですね」
相手:「限られたスタッフなので、なかなか思い通りにはいきませんが、何とかやっています」
あなた:「そうですよね。スタッフには限りがあるから、質の良いレクをたくさんする実施するには工夫が必要ですよね」
相手:「そうなんです。介護職がすきま時間や残業をして準備をしているのですが、入居前の生活水準に見合ったレベルに合わせるのは、なかなか大変で。」

この会話では、あなた(営業)が聞いてもいないのに、最後には相手(施設長)が、現状のレクについての課題を自ら話しています
ここまで相手が話してもらってようやく、課題の話に移ります。

あなた:「入居者の生活水準に合わせたレクの提供にご苦労されているのですね」
相手:「そうなんです」
あなた:「そのご苦労について、もう少し詳しく聞かせていただけませんか?もしかしたら私たちがお力になれるかもしれないので」
・・・・・・

商品・サービスは相手の課題を解決するためにあるのですが、こちらから課題を突きつけるのではなく、相手が自らの課題に気づけるように話を引き出すことがポイントです。

まずは導入だけでも注意してみてください。
問題点を指摘されるより、良いところを褒めれれた方が、相手も気分がいいですよね。「この人わかってくれる」という気持ちになります。

実際にやってみると、はじめのうちはなかなか難しいです。
うまく会話が続かず、沈黙が怖くなって、つい本題に突っ込んでしまいます。
そんな失敗を繰り返しながら、うまくなればいいのです。
営業が失敗したからといって、すぐに誰かを傷つけることはありません。
失敗は練習と捉えましょう。練習と振り返りを重ねればあなたもきっとできるようになります。大丈夫。応援しています!


最後までお読みいただきありがとうございました。

立崎直樹







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