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読書レポ|サイコロジー・オブ・マネー

お金がないより、お金があるほうがしあわせである。
資本主義社会においては、ほとんどの人が同意するだろう。
でも、「お金があるからしあわせなのか」と問われると即答しづらくなる。
その理由を見つけるには、お金としあわせの関係について、省略されている部分の解像度を上げた方がよいだろう。

サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット
モーガン・ハウセル

本書にはこう書いてあった。

「お金が人生にもたらす最大の価値は自由」

ミシガン大学のアンガス・キャンベル氏の言葉が引用されている。

「従来の心理学が考察してきた客観的な諸条件のどれよりも、人間に幸福感をもたらす信頼性が高い要因は、人生を自分でコントロールしているというはっきりとした感覚があることだ」

つまり、人間は自分の人生の主導権を自分で握っているときに幸福を感じる
資本主義社会において、自由を獲得するために必要な道具が「お金」である。
だから、お金があるとしあわせになる、ということだ。

一方で、お金は喪失感や恨み、怒りや自己否定など多くの負の感情を呼び起こす引き金にもなる。
自分の人生の自由を獲得し、しあわせを感じるのに、無限のお金は必要ないだろう。
しかし私たちは、もっとお金あれば、もっとしあわせになれると”勘違い”する。
高級時計を腕に巻くことと人生の自由を得ることはイコールではない。しかし、高級時計を巻けば周りからチヤホヤされ、もっと幸せになれるのではないかと錯覚する。高級時計を手に入れたら、もっと高価な車がほしい。もっといい車があれば、もっと幸せになれると錯覚する。
そのためのお金を得るために無謀な投資をして失敗し、これまで不自由のなかった日常生活まで困窮する。あるいは、これまで以上に自分の人生の時間をお金を得るために費やすことになる。
こうして不要なものを得ようとして、本当はすでに手にしている大切なものを失ってしまうという無意味な行為をする。

お金の呪縛から解放され、しあわせになるための富のマインドを持つためには、お金が人間に与える影響(特性)をしっておいた方が良い。
・もっともっとという欲を掻き立てる
・他人と比較して優越感や劣等感をもつ
・多ければ多いほどいいと強欲になる
・危険よりも、利益が得られる可能性を過大に見積もってしまう
これらの特性に対処する方法が、この本には詳しく書かれている。

ひとことで表すならば「足るを知る」ということだろう。
しあわせでいられるために必要な、お金との付き合い方を学べる良書だった。

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