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アメリカの時計会社は、日本がクォーツの特許をとったとわかった段階で、早々と解散を決めてしまった。かなわないと思ったんでしょうね。ところが、精工舎はクォーツ腕時計の特許を世界にただで公開した。アメリカの時計会社が解散したところで、特許を公開したので、アメリカは「えっ」と驚いてしまった。

以下は、世界は邪悪に満ちている だが日本は……。と題して、2015年12月1日に出版された、高山正之氏と日下公人氏の対談本からである。
p203
「世界は本当に腹黒い」ということを忘れてはいけない 
高山 
日本人はあまりにも人種意識がなさ過ぎます。
相手は人種戦争を仕掛けてきているというのに。 
日下 
日本人は、人種のことなんて超越しているから、気にしていない。
だけど、よその国は違うということは知っておいたほうがいい。 
向こうは、無意識かもしれないけれど、日本人の顔を見ると「許せん」と言いたくなる。
日本には技術があるから余計に悔しい。
彼らは日本になぜ技術があるのかを理解できない。
「まね」だって言う。 
私は「独創」だと思っている。
「日本人に独創の才能がある」なんて言う人は少数だから、あまり相手にしてもらえないのですが(笑)。
高山 
独創がたくさんありますよ。 
たとえば、クォーツの腕時計の特許をとったのは精工舎(現セイコー)です。
電圧をかけると水晶が一定周期で振動するクォーツの効果は、キュリー夫人として有名なマリ・キュリーの旦那、ピエール・キュリーと、その兄のシャッタ・キュリーが発見したのですが、最初につくられたクォーツ時計は、洋服ダンスぐらいの大きなものだった。 
それを小さな腕時計の中に入れてしまったのが、服部金太郎の精工舎。
精工舎が特許をとって、世界の時計会社はみんな「参った」と思った。 
アメリカの時計会社は、日本がクォーツの特許をとったとわかった段階で、早々と解散を決めてしまった。
かなわないと思ったんでしょうね。 
ところが、精工舎はクォーツ腕時計の特許を世界にただで公開した。
アメリカの時計会社が解散したところで、特許を公開したので、アメリカは「えっ」と驚いてしまった。
それ以来、いまだにアメリカの時計工業界は立ち直っていないんですよ。 
アメリカは日本人を見損ない過ぎているし、自分たちが腹黒いものだから、人の腹を探ることばかり考えている(笑)。
だから、時計工業界はダメになってしまった。 
そういうのを見ていると、日本人は日本人同士じゃないと生きていけないんだな、ってわかります。 
日下 
それはいい話ですね。
日本人は善良だけど、世界は腹黒いんだよ(笑)。
それを我々はもっと日本人に説明しないといけない。 
世界を見るときは、「世界は本当に腹黒い」っていうことを忘れちゃいけないんですよ(笑)。 
それをわかっている人が本当の国際人です。
日本にそういう人が出てくると、外国人は「ナショナリスト」と言うのですぐわかる。
安倍首相が言われていますが、それを誰も解説しない。 
高山先生はそんなことには無関係の顔をして、まず白人の自分勝手さを克明(こくめい)に大量に書いていられるので、心から尊敬しています。 
今から40年ほど前、『新・文化産業論』(東洋経済新報社)で「日本は文化の創造で世界のリーダーになる」と書いたとき、それに反対して某東大教授は「そうはならないだろう。日本人は白人でないし、キリスト教徒でもないから」と手紙をくれました。
どちらが正しいかは、そろそろ答えが出ると楽しみにしています。

2023/11/5 in Osaka


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