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歴史学の狭問にある国の歴史ならこの程度でも第1人者になれるのだ。

歴史学の狭問にある国の歴史ならこの程度でも第1人者になれるのだ。 
2015年10月23日
以下は、本物の硬骨漢であり、戦後日本で、一番まともな新聞記者であると言っても過言ではない高山正之の「高山正之が米国・支那・韓国・朝日を斬るテーミス、1000円、のまえがき、からである。

他人は戯言というかも知れないが、かつて肩書的には学者だったことがある。 
それで自己批判的にいわせてもらうと、だいたい学者の書くモノはおよそ身勝手で、面白くもない。
そんなのは売れるはずもないのに、そこは大学の先生の強みで、私の国際政治論概説を教科書とするとかいって学生に無理やり売りつける。
販路が確定している以上、別に面白くなくたっていいワケだ。 
そういう学者本に慣れた目でいうと、歴史学者、岡田英弘の『岡田英弘著作集』は面白い。
常識のウソを証明し、なお文章も巧みで、帯にある「前人未到の世界史の地平を切り拓いた」は決して誇張ではなかった。 
学閥と固陋さで成り立つ歴史学界からパージされ続けた理由も見えてくるが、著作集巻1の「歴史とは何か」に、日本でまともに学べる歴史が英仏独辺りの西洋史と国史(日本史)と支那を中心にした東洋史の三つしかないというくだりがある。
学問としての歴史学には日本と支那と欧州しかない。
その狭間にある例えばインドも、中東の歴史もアメリカの歴史すら系統的な史学として存在してはいないという。 
そういわれて、いくつも思い当たるフシがある。
冷戦構造が崩壊した90年代初め、アジアの国々を歩いて、明日からどうするのかを聞く取材をやった。 
ベトナム専門の明治学院大教授にも教えを乞うた。
しかし話していて、どうもこっちの下調べと合わない。
驚いたことにこの教授は、真珠湾攻撃前の日本の仏印進駐で日本はベトナムを占領領支配したと信じていたのだ。
いやベトナムはずっとフランスが支配管理し、日本軍は居候だった、現地の仏印政府を追っ払ったのは終戦の年の春、明号作戦からで日本支配と呼べるのはせいぜい5か月間ですと様々な資料を見せた。
例えば戦時中の昭和18年に仏印政府がベトナム人政治犯を収容する4階建てのサイゴン刑務所を賑々しく「開業」したことなどだ。
件の教授は「へっ」と絶句していた。
歴史学の狭問にある国の歴史ならこの程度でも第1人者になれるのだ。 
この稿続く。

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