SF映画っぽい物語

新人:傭兵団に入ったばかりの新人。まだ10代
サルバドール:20代後半の男性。近接戦担当。棒術に精通。
ピグマリオン:30代の男性。火器担当。先の戦いで右手右足を失う。
カペラ:若い女性。旧世代の文化に詳しい。古文書の解読担当。
法師:傭兵団団長。年齢不詳。
舞台は西暦7600年文明荒廃後の地球型惑星の砂漠。4人の傭兵たちが炎天下、陽炎ただよう砂の大地を歩いてゆく。彼らは依頼主から旧世代の技術が詰まった遺物の探索を任されている。
くたびれた傭兵たちの前にバザールが現れる。砂を固めてできた建物や色とりどりのテントが並び、異形の宇宙人たちがひしめき合っている。バザールに入る一行
商人A「安いよー。ジャバンガランガが2パッジたったの1000バーグだよー」
商人B「ちょっとそこの兄ちゃん!蒸留水一杯200バーグでどうだい!」
法師「遠慮しとくよ、あとアタシは女だよ。ついてきな新人」
そっけなく断った法師は新人を呼ぶが、新人は初めて見る商品の数々に目を奪われている。
新人「ちょっ、ちょっと待ってくださーい!」

露店でサルバドールとカペラが話している。
サル「カペラ、お前それ買うのか、なんだそれ?」
カペラの手にしているチップの様な機械に気が付く
カペラ「んー、お守り、かな?」
サル「ふーん」

一行は目当ての雑貨が所狭しと並ぶ薄暗い店に到着する。奥ではおいぼれの爬虫類型宇宙人がキセルから濃い緑色の煙をたれ流して通りに目を見張っている。
カランカラン
法師「親父―、元気にしてるか?」
親父「おお、誰かと思えばこれはこれは法師様じゃねえか」
法師「記憶の方は健在そうだな」
親父、法師「「ガハハハハハハハハ」」
親父「して、今日は何用かね」
法師「旧世代の起動用電源プラグを3つと有機培養液を5パック」
親父「全部合わせて30万バーグだな」
法師は色とりどりの“甲虫”を袋から出し、トレーに置く。うち一匹が飛び立ってしまう。
その瞬間親父の舌がカメレオンのように伸び、逃げた虫を捕らえ飲み込んでしまった。
親父「さては新たに旧世代の遺物を見つけたな?」
法師「よせやい、バザールの主電源の点検を依頼されただけさ」
親父「そうかいそうかい」
親父はキセルを一度ふかす。
「最近は旧世代遺物の発掘の横取りを目論む輩が後を絶たないからな、気を付けなされ」
商品を手渡しながら法師らに語りかける。
法師「わかったよ」

一行は店を後にする。
一行を追う黒い影。気づいたサルバドールが法師に耳打ちする。
サル「法師様…」
法師「分かっている、親父め…奴らと取引を…。ピグマリオン、獲物の安全装置は外しときな」
ピグ「あいよ」
キュイーーン
銃が起動する。
法師「バザールの門をくぐり抜けたらおっ始めるよ…3…2…1」
ピグマリオンが振り返り、追手の二人を仕留める。
法師は門の上に潜んでいた敵を打ち落とす。
終わったかと思ったその時、砂に隠れていた敵がカペラと新人に襲い掛かる
新人、カペラ「「ひっ…」」
サル「馬鹿っ!」
サルバドールが応戦しようとするが間に合わない。
そこでカペラは小さなチップを敵に投げると、当たった敵は空中で灰になり崩れ落ちる。
サル「あ…」
カペラは一息ついてへたり込む。
カペラ「あーよかったー。この遺物がなかったらどうなるかと思いましたよぉ」
サル「ハハ…ハ…」唖然とするサルバドール

砂漠を進む一行
新人「カペラさん、この先に何があるんですか?」
カペラ「今の人智では生み出せない圧倒的な技術力の結晶よ」
新人は息を呑む。
突然砂漠の向こうから轟音が鳴り響く。
ピグ「なんだありゃ?」轟音のする方向を見る。双眼鏡でその方向を眺める。
サル「貸してみろ」双眼鏡を奪う。
双眼鏡の向こうでは巨大な生物のようなものが砂しぶきをあげている。
サル「ありゃあ砂鰐だな。30mはあるぞ。大きな音は立てるな。近くに来る前に先を急ごうぜ」

目的地に到着
砂漠の中にたたずむ金属製のハッチ、表記を詳しく調べるカペラ
カペラ「あーこれは第五世代のJapanenglishですねー、ほらここ、動詞と語順が完全に英語だけど助詞は日本語のまま」
「内容呼んだ限りここは研究所跡で、鍵とか罠とかはなさそうなのでそのまま入っちゃいましょう!」

ハッチが開く。中は暗い。ライトを取り出し照らすと、人ひとり入る大きさのガラスケースが並んでいる。
法師「んー、依頼主によればこれが不治の病をも完治させる機械みたいだね」
新人「じゃあピグマリオンさんの腕と脚も元通りになるんじゃないですか?」
カペラ「説明書きを読めば本当にそうみたいですね」
法師「早速やってみようじゃないか」
カペラ「まず、ピグマリオン、その椅子に座って横にあるヘッドギアを被って」
ピグ「こうか?」
カペラ「次に、サルバドール、あなたはさっきのプラグと培養液をこことここにセットして」
サル「あいよ」
カペラ「じゃあヘッドギアを作動させますよ?ちょっとビリっとするかもですが…」
ブーーン
ヘッドギアの作業が終わる
ピグ「特になんもなかったが…」
カペラ「これでピグマリオンの脳内の人格や記憶など情報全てと遺伝子情報がコピーされました。じゃあ今度は服を脱いでこのケースの中に入って」
ピグ「おお…?」何が起こっているか分からないピグマリオンは言うとおりにする
カペラ「準備はいいですね?じゃあ、スイッチオン!」
ピグ「お、なんか下の刃が回転して…グエエギッ…」
ケースの中の高速回転する刃によってミキサーにかけられた豚肉のように木っ端みじんのミンチ状態にされていくピグマリオン、ほんの10秒ほどでピンク色のドロッとした液体になってしまった。
法師「あーこのタイプかー」
サル「こりゃ痛いぞー」
カペラ「ちょっと新人君には刺激が強かったかもね…」
新人「あっ…あっ…ええ…」
カペラ「じゃあここで培養液を加えて、先ほどの遺伝子情報をもとに身体を再構成していきまッ…って新人君!?」
目の前で行われた人の残虐な死に耐えられなくなった新人
新人「ひっひっ人殺しぃ…!こんなとこいられるかッ!」
吐き気のする口を押えてハッチから急いで飛び出していった
サル「どうします?法師様。あいつ連れ戻しますか?」
法師「ああ、そうした方がいいかもな…」
サル、法師、カペラは開けっ放しのハッチから明るい砂漠の中必死に走って小さくなっていく新人を眺める
新人「うわああああああああああああああああああ」
その瞬間砂漠から大きな砂しぶきをあげて砂鰐が顔を出し、新人を飲み込んでしまった。
サル「あーあ、言わんこっちゃない」
すると、ケースから粘膜の様なものに包まれた新しいピグマリオンが目覚める。
ピグ「あーあ、最近風呂入ってなかったからさっぱりしたぜ。腕と脚も治っていい気分さ。あ、新人は?」
サル「今死んださ。復元はむりだろうな。」サルバドールは振り返って言う。

備考

二年前くらいから考えていたお話です。世界観的にはスターウォーズっぽいけど、舞台は「ゼルダの伝説 Breath of the Wild」のゲルド地方がモデルです。実際「砂鰐」とかほとんどゼルダのモルドラジークなので。キャラクターの設定とか名前は西遊記からとってます。新人は『ペンギンズ』の新人とか『空挺ドラゴンズ』のタキタ、『チェンソーマン』の東山コベニあたりがモデルです。法師は、ディズニーの『トレジャー・プラネット』のアメリア船長がモチーフです。文明の荒廃した後、その遺物を再利用するみたいな話も結構ありますね。


この記事が参加している募集

SF小説が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?