見出し画像

リレー作文で物語を書こう!<日本語アクティビティ>

みなさんは、「作文」ではどんなアクティビティをしていますか?

私はチェコの大学で2年生の作文の授業も担当しているのですが、意見文や感想文などが続くと学生は疲れてしまうようです。
そこで、学生が気軽に「書く」を楽しめるよう、1学期に3回ほど創作文のリレー作文も取り入れています。


リレー作文とは

数人のグループを作って、順番に文章を書きたし、リレー形式でひとつの作文を作るアクティビティのこと。

話がどのように展開されるのか、そして話がどう終わっていくのか最後までわからないのでワクワクする活動です。

じっさい、学生からも人気があります。

リレー作文のすすめかた

3人でひとつの物語を書くアクティビティをします。
物語の<冒頭部分><中盤><終わり>の3つのパートをそれぞれ書き上げます。
1人目が<冒頭部分>、2人目が<中盤>、そして3人目が<終わり>を担当。

今回は、最初の一文は教師である私が指定。

「OK、グーグル。」
この文からそれぞれ物語を書いていきます。

アクティビティのながれ
① 3人組のグループをつくる。
② 全員が「OK グーグル」の書き出しで冒頭部分を書く。 (15分)
③ 15分後、2人目に自分の書いた冒頭部分を渡す。
④ グループの人が書いた冒頭部分を読み、必要があれば書き手に質問。
⑤ 中盤の部分を考え書く。(20分)
⑥ 20分後、3人目に紙をわたす。
⑦ 冒頭部分・中盤をよく読む。必要があれば書き手に質問。
⑧ 終わりの部分を考え書く。(20分)

リレー作文では、1人が書いているあいだ、グループの人はそれを待つという形式もあります。
この授業では、全員が同じパートを好きなように書きます。

つまり、ひとつのグループに、3つの物語ができあがることになります。

この活動のチャレンジングなところは、それぞれのパートの機能を意識すること。

冒頭部分は、登場人物や舞台などを示し、ある程度物語の方向性をしめす。
中盤は、冒頭部分を引きつぎながらも、物語に変化をつけ、盛り上げていく。
終わりは、物語の流れをくみ、オチをつけて終わらせる。

リレー作文のみりょく

① 読み手を意識して文章を書く
次の人が自分の文章をもとに書き進めるので、「わかりやすい文章を書く」という意識が自然と生まれます。

語い、文法、漢字の表記などに注意をむけるのと同時に、文章の流れや構成にも気をつけるようになります。

やっぱり、先生だけに見せる作文を書くときと、クラスメイトにも見せるときとでは、学生の意識はぜんぜん違うようです。
「先生ならわかってくれるだろう」という甘い期待ができませんものね。

② 文脈を意識して文章を書く
クラスメイトが書いたものを読んで、理解し、それに物語を付け足していく。
大きく別方向に話を展開するにしても、物語の流れを汲んで終わらせるにしても、うまく話をつなげるためには、文脈を意識しなくてはいけないですよね。

3人(複数人)で仕上げるからこそ、いつもより文脈に注意して書く作業ができています。

③ クラスメイトの『想像力と創造力』に出会える
なんといっても一番の魅力はこれ!

「OK グーグル。このあたりでおすすめのカフェはありますか」のように日常のコマを描く学生。

「OK グーグル。いちばん早く出る電車はどれ!?」と聞いてあやしい集団から逃走中というシチュエーションを繰り出す学生。

「OK グーグル。」につづく物語は人数分生まれます。

<中盤><終わり>での物語の展開のしかたも人それぞれ。

みんなある程度の物語を頭にえがいて冒頭部分を書くのですが、最終的に出来あがったものが、想像の斜め上をいく。もしくは想像すらしていないもの。

さいごにみんなで物語を読むと、
「えー!こんなストーリーになるなんて、私じゃ思いつかない!」といった反応があちこちから出ます。

その時の学生たちの笑顔が、まぁ良いこと!

手書きか、タイプか

このリレー作文。
紙でもタイプでもできますが、それぞれの利点と欠点があります。

紙の場合
目の前のグループの人に手渡せばいいので簡単。教師の負担が軽い。
ただ、手書きなので、修正がすこしやりにくいのと、書ける文章量はすくなめ。漢字に手こずる。
たまーーーに、字が読めないというトラブルもあります。
ディスレクシアの学生さんがいる場合は不向きです。

タイプの場合
Google docs などを使えば共同編集者として数人で作業可。
タイプなので、手も疲れず書ける文章量も多め。漢字の間ちがいは少なくなる。

でも教師の負担が大きいのがネック。
授業前に学生全員がGoogle docsにアクセスできるよう設定しておき、当日、「いつ、だれの作品に続きを書くのか」を100%学生が把握できる方法で示さないと、学生が混乱してしまうかもしれません。

これが心配な場合は、紙で手書きする方法をおすすめします。

さいごに

最初は書きにくそうにしていても、慣れてくると文章量もアップすると思います。
最初は、「まず数行書くだけでも大丈夫ですよー」と念押しして、とにかく「自由に書く」楽しみを身につけてもらうと良いのかなと思います。

書くのが苦手の学生さんでも楽しみやすいアクティビティですので、ぜひ試してみてください。

教師側も、学生さんのクリエイティブな作品を楽しめること間違いなしです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?