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私たちは動物であることを忘れちゃいけない

少し前に読んだ本の話。

この本もAmazonのKindle日替わりセールで出会った本だったと思う。たくさんの良書にお得に出会わせてくれて本当に感謝。

まず何とも魅力的な表紙。
いわゆるジャケ買いをしがちな私は、表紙を見ただけで気になる!と思った。

この本は今は亡き、京都精華大学の客員教授だった日高敏隆教授の講義を、京都大学名誉教授の今福教授がまとめたものになっている。
全編に渡って易しい話し言葉で書かれていて内容が入ってきやすい。

この本の出来方はプラトン著の『ソクラテスの弁論』を思い出させる。
偉大な哲学者であったソクラテスの言葉をプラトンが書き起こしたから、後世の私たちも彼に学ぶことが出来る。
(こんな偉そうなことを言う私は『ソクラテスの弁論』は未読。読まなくては…)

素晴らしい本だが、印象に残ることはやはりインパクトの強い情報で、例えば女性に美しい胸がついているのは人間だけだ、ということで、他の動物のセックスアピールは決して胸ではなくて、性器そのものであることが多い、胸に魅力を感じるのは人間くらいだ、とのこと。

その理由として考えられることは人間は直立歩行をしているから、四つん這いであった頃と比べて本来魅力を感じるはずである下半身から距離的に離れてしまった。
そこで人間の女性はお尻と似た形の胸をつけるようになった、というのだ。

もう忘れることの出来ない情報だ。正直、知らなかった方がよかったとすら思う。

生物学の観点から現代社会の不自然さを考えているのも面白かった。
例えば、教育。人間は本来、色々な年代の人と関わって観察して、学び生きてきたのに、学校というものは同じ年代の子どもたちを集めて色々と教える。それ自体不自然なことだということ。

家庭だけでしつけをするという、そういう文科省の方針、そして今の学校制度とか、あるいは家庭だとか、今のそういう状況というものは、何か人間本来の動物としての姿とは、どうも違ったことを相当に持っているんじゃないかという気がします。

『人間は、いちばん変な動物である』

だからと言って、もし私に子どもがいたら、当然のように学校に通わせるだろうし、でもこの事実を知っているかどうかで今後に影響があるんじゃないかと思う。

例え学校で上手くいかないことがあっても私たちにとって不自然なことなんだから、と思えるかもしれないし、子どもを色々な人に、色々な文化に触れさせなくてはいけないという教訓になった。

また、優秀な学者であった日高教授がわからないことをわからないとはっきり言っているのもよかった。
とてつもなく長い人類史を解き明かすとは当然容易なことではないし、もはや不可能なことに思える。

何もわからないんです、と、だから面白いんだ、と日高教授から教えられて研究の道に進んだ生徒さんもきっといるんだろうなと思う。

ちなみに日高教授は京都大学に行きたかったのに、家にお金が無かったからしょうがなく東大に行ったという大秀才。
そんな人もいるんだな。

6月19日 月曜日

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