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フランスで日本映画を見る楽しみ…それは、フランス人の反応を見ること

11月1日から、宮崎駿さんの最新作『君たちはどう生きるか』がフランスで公開です。

フランス語のタイトルは
『Le Garçon et le Héron(少年とサギ)』

日本映画をフランスで鑑賞すると、とにかく毎回、映画館に来ているフランス人の反応が面白いのです。観察するのがやめられません。

1番印象に残っているフランス人の反応は、2019年の映画『ワンピース スタンピード』です。フランス人の友人に誘われて、上映初日に観に行ったのですが、ロビーには、麦わら帽子をかぶってルフィに扮したフランス人だらけでした。もちろん席は満席。

私はワンピースを読んだことがなく、前日に必死でWikipediaで予習。でもそれさえも長すぎて読みきれず。物語の細かい設定はわからないのですが…。

映画が始まると、主題歌(なのかな?)を、みんなで大合唱。「ルフィ様、ありがとうございます!」と叫んでいる人もいて、ワンピース人気を目の当たりにしました。オールスターが勢揃いする内容だったので、キャラクターが登場するたびに、拍手と大歓声。闘争シーンが多く、まるでライブで試合を見ているかの熱気でした。宝箱(なのかな?)を開けるシーンでは、たくさんの人が立ち上がって、一緒に箱の中を覗こうとしていました。(もちろん見えるわけがない)。フランス人の、この物語への没入具合が半端なかったです。「冗談でしょ?」と思うくらいの彼らの熱狂が、今でも忘れられません。

個人的にはカタツムリの電話(電伝虫?)を「エスカルゴ・フォン」と訳しているのがお気に入りです。

今年の春には、フランスの映画館で2021年の映画『HOKUSAI』が上映されました。日本通を名乗る、50代〜60代のフランス人マダム数人に誘われて、一緒に鑑賞。映画を観ながら、色と映像美で北斎の内情を表現しているカメラワークが、仏ゴダール映画を思わせて、私はとても好きでした。マダム達も気に入ったんじゃないかな?と思っていたのですが…。

上映後に感想を聞くと、みんなイマイチだったと。理由は「北斎がストイックすぎる」と言うのです。映画の中に、北斎が風にあおられながら必死に筆と紙を出し、突風に逃げまどう街人の姿をスケッチするシーンがあります。その行動が「いくらなんでもやり過ぎだ」と…。

私は彼女たちと真逆の感想。そのシーンは、感動シーンでした。興味を持ったら躊躇わずに即行動する北斎の姿に、「こういう人物だからこそ、後世の人々を感動させる作品が作れたんだな」と、非常にインスパイアされたシーンだったのです。

マダムたちと、ディスカッションが加熱。微妙な雰囲気になりました。文化の違いなのかしら。日本人のストイックさは、たとえ日本通であってもなかなか理解できないんだな、としみじみ思いました。でも、こうやって作品を見たあとに、議論することに映画の醍醐味があります。違う考え方も知れるので、ホント楽しい♬


吹き替えなしのオリジナル版の映画は「VO」か「VOSF」を選ぼう

日本にも吹き替え版と字幕版の映画があるように、フランスにもフランス語の吹き替え版と、字幕版があります。もちろん私は、日本映画は絶対日本語で見たい!

フランスで、吹き替え無しのオリジナル版の映画を観たい時には、「VO (Version Originale)」と書かれている日程を選びましょう!ちなみに「VF (Version Française)」はフランス語での吹き替え版です。

映画館によっては、「VOSF (Version Originale Sous-titré en Français)」や「VOST(Version Originale Sous-Titré)」と記載しています。これは「吹き替え無しのオリジナル版で、(フランス語)字幕」の略です。

さて、今回の映画もフランス人の反応を見るのが楽しみです。(もちろん映画も楽しみ)
そして、上映後の出口調査(?)で、フランス人に映画の感想も聞きたいな。

VO (Version Originale)
「吹き替え無しのオリジナル版」
VOST(Version Originale Sous-Titré)
「吹き替え無しのオリジナル版で、字幕付き」


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