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女性の働きやすさってなんだろう


はじめに

 8日の「国際女性デー」を前に、英誌エコノミストは経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国のうち29カ国を対象に、2023年の「女性の働きやすさ」を比較した。総合ランキングで日本は22年よりも一つ順位を上げたが、29カ国中27位にとどまった。

女性の働きやすさ、日本は29カ国中27位 英誌エコノミスト (msn.com)

個人的にはタイムリーな記事だ。なぜなら私が仕事を退職するにいたった本質的な部分だからだ。
なので今日は私の体験からひとりの女性目線で「女性の働きやすさ」とは何かについて語っていこうと思う。

仕事を辞めた経緯

私は10年くらい個人でWEBクリエイターに近いお仕事をしていた。お仕事とは言っても、小遣い程度の稼ぎでしかなかったが…
離婚していざ一人で生活しようとしたときに「IT事務」の仕事を見つけ、その会社の正社員となった。

社内の経営陣は全員男性。社員も男女比9:1ほどの圧倒的男性社会だった。
そして常駐する客先もまた同じだった。現場に配属されたとき、既に現場で働いていた女性二人は異動願を出そうとしていた状況だった。理由は現場のギスギスした感じが精神的に辛かったからだそうだ。

男性にとっては「普通」なのかもしれないちょっとしたいざこざも、女性目線だと涙するほど怖いこともある。男性にとっては「ちょっとした冗談」のつもりでも、女性目線ではハラスメントに呈することもある。それを管理職の方々は理解していないように感じた。
日々、二人の若い女性メンバーをフォローするように仕事をした。

いろいろと別の理由があって二人の女性は退職した。そして私はチームの紅一点となった。日々、悩みを聞いていただける上司はいたのだが「その程度のこと自分で乗り越えてくれ」とのニュアンスで返され、毎回あまり取り合ってもらえなかったように思った。

そしてこう思うようになった。
「私が年下女性の心をフォロー出来ても、私自身の心をフォローくれる人はいないのかもしれない」

そしてそのストレスは限界となって、ある日ベッドから体が動かせなくなった。パンクしてしまって何も出来なくなってしまった。夜勤の夫は不在で一人で呆然と泣くしかなかった。

仕事を辞めた理由

倒れた私の言い分を会社は黙って聞いてくれた。でもやはり客先の仕事を突然放棄する形となった私の責任は重いとも言われた。結局は結果がすべてでそれまでの経緯なんていうのは見てもらえないのだと思った。

上層部との話し合いで私はこう質問した。
「男性がある程度ゼロイチの判断で仕事を切り捨てることが出来る一方で、女性は相手を想ってどうにか出来ないかと解決に尽力してしまう側面がある。そういう考え方の違いが双方にとってストレスになっている場合はどうすれば良いと思いますか?」

そして上層部の回答はこうだった
「女性側が今までの男性社会のやり方を許容しながら、きめ細やかさを生かして働けば良い。」

それは右を見ながら左を見ろと言われているようなもので、解決していくには大変困難な道のりになるのは確かだった。そして求められるのは女性側の意識改革だけで男性側の意識改革については何も言及しない上層部に違和感と不信感が生まれた。

結局のところ私はこの組織に身を置いても、自分のやっている事を評価してくれる人もフォローしてくれる人もいないのだと悟った。
「女性管理者が不在でパイオニアとなる人材を探している」と言うのは簡単だ。でもそもそも男性側の意識改革がないのにどうして女性管理者が育つと思っているのか不思議で仕方なかった。

それで女性が働きやすい環境って

世の中で女性の働きやすさが議題にのぼるとき「育休」「産休」の話に飛び火するのはよくあることだ。
でも子どもを産み育てていくことは課題のひとつなのであって、本当に着目すべきは「自分と違う性に寄り添うこと」なのではないかと思う。

それは女性側にも言える。自分の家族を守るために働く男性にとって職場は「戦場」でもある。女性が雰囲気よく働きたいと望んでいても、男性は男性で様々なプレッシャーを背負って働いている。それが現場の緊張感になっていても仕方ないと言えば仕方なくて、うまく解す術を身に着ける必要があるのではないかと思う。

そうやってお互いを認め合えたとき大きな前進となると思うのだが、現実は
そう甘くない。

こう冷静になっても私は「男性側も意識改革してほしい」と思っているし、男性は男性で「女性側が自分たちに順応してほしい」と思っている。その時点で話は平行線になるしかないのだ。平行線になれば正しいのは組織の上だ。だから私はこの組織から身を引こうと思った。

そしておそらくIT企業だけではなくて、男性比率の高い業界における女性の離職についてこういった事例は多くあるのかもしれない。結局は男性社会への順応さと強さを兼ね備えた限られた人しか上っていけないと肌で感じたからだ。少なくとも私はその奥ゆかしさは持ち合わせていなかった。

私自身のこれからのこと

会社員二年目、まだまだひよっこの未熟な人間なのでもう暫く耐えてみる選択肢もあった。正直言うと、夫と結婚していなかったらそのまま雑草魂で退職せず仕事を続けていたと思う。
でも結婚した今、私が一番大事にしたいのは「夫を大切にすること」である。私が膨大なストレスを溜めればそれだけ夫にも悪い影響が出る。だから同じお金を得るのであればもっと自分を大切にして、笑顔に満ちた人生が送りたいと決めて退職に至った。

だからこの会社員での経験を糧にして、これからも自分の決めた道を進んで行こうと思っている。

おわりに

私は入社するまで性差について深く考えたことがありませんでした。逆に言うと世の中の「フェミニスト」と言われる方々を「男性に大切にされない可哀そうな人」とさえ思っていました。男兄弟に囲まれて育ったからか、お互いの性を認め合うのは当たり前だと思っていたからです。

でも組織で働いてみてそれは違うと気付きました。

いろいろな環境の人が本当の意味で多様性を認め合うには、まだまだ課題が多いように思いました。
今回は性差に焦点をあてて語ってみましたが、またいつか帰国子女として他国と日本の教育指針の差に焦点をあてた記事も書いてみたいです。


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