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お金の未来を考える

2019年04月10日(水)付日本経済新聞朝刊1面では、政府・日銀による新紙幣の正式発表に伴い、世界各国のキャッシュレス化が進む中で、日本においてはむしろ超低金利政策の下でのタンス預金の増加による現金の流通が増加している、具体的にはかつて無いほどの日銀からのマネタリーベースに対して、通常ならば比例して増加するはずのマネーストックが増加しないという日銀の思考を越えた不可解現象が起きている中で、世界における金融政策の潮流からの遅れが懸念される「日本のお金の未来」についての記事が掲載されていました。

お金の未来どこへ 新紙幣24年度から:日本経済新聞

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43534360Z00C19A4MM8000/ )

以下一部転載。
「政府・日銀は9日、千円、5千円、1万円の新紙幣を2024年度に流通させると正式発表した。日本は世界に類をみない現金大国で、最新技術で偽造防止を強化し、今後も安全な決済手段として維持する。一方、政府は25年に現金を用いないキャッシュレス決済の比率を欧米並みの40%に上げる方針も掲げており、お金の未来像はみえてこない。…」

関連した内容として、先日2019年03月25日にはNewsPicksにて、次のような記事が注目されディスカッションされていました。

【貨幣の未来】脱・現金大国へ、日本はブロックチェーンで変われるか

( https://newspicks.com/news/3767742 )

以下一部転載。
日本人には、「現金払い」というぜいたくな習慣がある。
世界第3位の経済大国では、ほとんどの支払いに紙幣と硬貨が使われている。クレジットカードやデビットカードの普及する西欧諸国だけでなく、さまざまな「キャッスレス」電子決済が普及する中国や韓国とも、日本は一線を画す。
つまりこれは、日本にはキャッシュ・レジスターだけでなく、相当な数のATM(おそらく20万台以上あるだろう)が存在し、現金輸送車が至る所を走り回っていることを意味する。年間コストは180億ドルに上り、そのほとんどを金融業界が負担している。
東京オリンピックが開催される2020年には、クレジットカードや電子決済が普及する国々から数十万人の外国人観光客が日本を訪れるだろう。オリンピックの開催期間中に、外国人観光客が消費する金額は数十億ドルと予想されるが、日本の金融システムでは処理しきれず、数億ドルもの資金の処理が遅れる可能性がある。…


上記の記事に関して、Newspicksでは様々な意見が飛び交っておりました。

例えば、弁護士の荘司 雅彦先生 は、

日本の「現金払い」をなくすのは、今の法制度では極めて困難です。

まず、高すぎる相続税を回避するために「名前が書いていない現金」で保有する人たちがとても多いです。

次に、飲食店等の自営業者は現金で受け取った代金を一部申告しない「売上控除」をすることで脱税をしています。

最後に、反社会的勢力の諸氏は銀行の預金口座がつくれないので(隠してつくろうとすると「詐欺罪」で逮捕されます)、現金以外は使えません。

以上の最大公約数は、(特に税率のように)厳しすぎる制度が「現金」という逃げ道を作っているのです。

耐火金庫がたくさん売れたのは、(相続税がきつくなったことを受けての)脱税目的でしょう。

大昔、米国がレーガン政権の時、「ラッファー曲線」というものが注目されました。
税率が上がると税収が上がるが、税率が一定数を超えると税収が下がるという標準偏差のような図です。

税制が厳しくなれば脱税する人が増える。
今の日本がまさにその状況です。

キャッシュレスをすすめるのであれば、思い切って税制を緩和するのが一番でしょう。
「税収が減る」
という反論に対しては「ラッファー曲線」で説得できる…かな???


宇佐美 進典 さんは
(VOYAGE GROUP 代表取締役CEO)

この習慣とは、個人の習慣と事業者の習慣の両方だけど、個の習慣は個々の企業による利便性の追求で変えられるけど、で事業者の習慣はpickerの荘司さんが書いているように税制の見直しがないと変わらない。

『日本人には、「現金払い」というぜいたくな習慣がある。』


僭越ながら、私( 中山 智是 )は、フィンテック研究フォーラムなどにも参加させて頂いている一人として、専門的な情報を含めた上で次のように述べさせていただきました。

日本の「現金払い」習慣をなくす方法は大別して2つあると考えます。

先ず一つ目が、「偽札の流通」。日本の高額紙幣は、確かな技術に裏付けられた精密な造りが功を奏し、諸外国と比較しても偽札が殆ど流通していません。その為に、保有する人や使う人からの信用度がとても高く、同時に有益な道具としての価値も高く手放す人が少ないと言えます。 Intrinsic Valueに裏付けられた、Extrinsic Valueが構築されているということです。仮に、現状で偽札が流通したならば既存の紙幣や貨幣の機能的価値が著しく下がり、信用に起因するExtrinsic Valueも同様に下がる事になり、利用する人は減る事になるでしょう。しかし、この方法は現実的とは言えません。
そこで二つ目としては、「1万円札と5千円札の高額紙幣の廃止。」です。実際に、14年にはシンガポール、16年にはインドで政府主導により高額紙幣の廃止を実施したところ、資産隠しや資金洗浄などが大幅に減少しただけではなく、日常における現金の持ち運びが不便になり、デジタル化が加速したと言われています。つまりは、高額商品を買う為には、大量の小額紙幣や貨幣が必要になるという事です。

加えて、第3次産業革命においてICTインフラが普及したことに加え、インダストリー4.0におけるビッグデータ、AI、ロボディクスなどをベースとしたIoT環境の構築が促進されている現状においては、どこにでも監視カメラが設置されているような状況になっています。更には、Fintechにより、三式会計へと会計処理のリアルタイム化も進み、不正は益々不可能になる事でしょう。そう考えますと、ICTの発展は同時に「現金払い」のデジタル化を背景で加速させる一因になっていると判断して良いと私は考えます。

補足として、超低金利に嫌気が差し銀行に預けずに「タンス預金」をされている方々で、私の期待値を高く評価してくださり、投資や融資をしてもいいとお考えの方はお気軽にお声がけください。金融庁の定める金融法にきちんと則った上で、銀行預金以上の金利等を付けた上で活用させて頂きます。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年4月14日付

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