見出し画像

妊娠中は歯ぐきが腫れる!

みなさん、こんにちは。

歯科医師の矢野です。

今日は妊娠中に気をつけて欲しいお口のケアについてお話したいと思います。



妊娠と出産は女性にとって、人生の一大イベントです。

新しい命をお腹に宿すわけですから、

体の構造が完全に変わります。



母体は、胎児が安全に健康的に育つために最適な環境を作ろうとします。

ホルモンのバランスが変化し

食欲や、味覚・嗅覚が変化し、

腸内環境が変化し、

排便・排尿の性質が変化し、

感情が変化しやくすなり、

その他、様々な変化が体のすみずみで引き起こされます。


画像1

それに伴い、不快症状が出たり、体調不良に悩まされたりします。

そのような変化はお口の中にも起こります。

口は、食べ物を食べて体の中に取り入れる最初の器官です。

外界からくる異物や毒物を体内に入れないようにするために

免疫機構が非常に発達しています。



口の中の組織には毛細血管が多く、免疫機能が働きやすくなっています。

そのため、ホルモンバランスの変化や体調の変化に影響されやすい器官でもあります。



女性は、妊娠に伴い女性ホルモンのバランスが変化します。

特にエストロゲンとプロゲストロンいうホルモンは、

妊娠期には月経期と比較して分泌量が大幅に増えます。

これらのホルモンは、歯周病原細菌の増殖を促し、

また、ホルモンの変化によって、免疫機構がくずれるため、

歯ぐきに炎症反応が起きやすくなります。



炎症反応が起きると、歯ぐきが腫れたり、歯ぐきから血が出たりします。

また妊娠期はつわりのせいで十分なブラッシングができなくなることがあります。



歯茎

写真:妊娠性歯肉炎


妊娠中は通常の状態に比べて、歯ぐきに炎症が起きやすい状態になっています。

健康なお口の環境を守るために、日頃のオーラルケアに力をいれましょう。



妊娠中のオーラルケアのポイント

・ヘッドができるだけ小さい歯ブラシをつかって一本一本丁寧に磨きましょう。

・ハミガキ粉の量を減らしましょう。

・つわりを避けるために、香料の強いハミガキ粉は避けましょう。

・つわりがある場合は、デンタルリンスを使いましょう。

・体調の良い時間帯に歯磨きをしましょう。



むし歯菌も歯周病菌も

親から子供へとうつると言われています。

生活をずっと共にするので、

皮膚の上の菌、腸内細菌、お口の菌

これらの菌の種類は、親子で似たものになります。


画像3

感染性の病気が親から子供へうつることを垂直感染といいますが、

お口の菌が親から子へうつるのも垂直感染の一つと言えます。

お口の健康を守ることは、将来の子供のお口の健康を守ることにもつながります。

参照 歯周病と妊娠「妊娠性歯肉炎」日本臨床歯周病学会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?