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『バナナに恋したタツノオトシゴ』

キミと初めて会ったのは、
ボクが熱帯魚屋さんに来た今日だった。

眠っているキミを見て、
ボクの胸がチクチク痛んだ。
どうしたらこの水槽から出て、
寝ているキミを起してあげられるだろう。

キミの声を聞いてみたい。
キミと一緒に水槽で漂いたい。
キミの黄色を褒めてあげたい。
滑らかな曲線も、茶色いブツブツ模様も。

これを、恋というのだろうか。

すると、
ボクの隣の水槽の、ハコフグ君が言った。
「バカだなあ。アイツの正体が何か、知らないのかい?」
意地悪に言うその言葉に、ボクは耳をふさいだ。
「アイツ、今からこの店の店長に。。。」

今からこの店の店長に。。。
「食べられるんだぜ」

お昼の12時になった。
眠そうな店長が、キミを縦に持ち
そして鱗を4枚に脱がした。
真っ白な美しい肌があらわになって、
キミは店長の口に運ばれた。

「ほらね」
ハコフグ君が笑った。

キミと二度と会えなくなったのも、今日だった。


※ 原画はInstagramにて公開中です!
https://instagram.com/happyuppersmile

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