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黄色いカプレーゼ 〜生存本能と夏野菜料理あれこれ〜

先日、仕事で近くに寄る機会があったので実家に一時間だけ顔を出した。底を突きつつあったお米を受け取るためだったけど、春からこっち「他県への移動は自粛」で田植えも手伝えず、実に正月から半年ぶりの帰省だった。

両親は半年でずいぶんしなびた感じがした。親父は詳しく言わなかったけど健康上の理由から酒をやめたらしい。

オカンが職場の近所に最近オープンした店の焼肉弁当を買ってきてくれて、奥の間でつつきながら近況報告をした。こちらの様子を聞くよりも両親が一方的に自分たちのことを話しまくる一時間だった。テレビでいうと編集点がないトーク。でも使いどころもない。

きっとまだまだ話し足りないんだろうなと思ったけどレンタカーだったので返却の都合で早々に去ることに。帰り際、やはり米以外にもありとあらゆる夏野菜を持たせてくれた。ジャガイモ(男爵とメークイン)、とうがらし(ピーマンみたいに青いまま食べるやつ、何とうがらしかは不明)、ミニトマト、云々。すでに段ボール箱に入れてスタンバイしてあったのを断りようもない。時間もないのでハイハイと受け取って車を出した。

しかしうちには同じようにして妻が義母から受け取った同じような野菜がすでにわんさかあるのだった。ありがたいけど困るわあー。夏野菜は水分が多いから保存が効かないのよね。

西陽に眼を細めながら高速を走らせ、考えた。なんか年々、両親からのお裾分けが大雑把になってないか。

親はいつまでも子どもを若いと思っていろいろ持たせてくれるけど、もうそんなに食べられないんだけどな、と思いはじめたのは30代の頃だけど、その頃からくれる食べ物の量は変わらないというか、むしろ両親が歳をとるのに比例して多くなっている気がする。

いや、間違いなく多くなっている。それは妻の母にしてもそうだ。

これはなんだろう、人間という種の本能みたいなものかなあ。衰えてゆく命から次の世代に少しでも多くのエネルギーを受け渡したい。その欲求は自分に残されたエネルギーが減っていけばいくほど加速するのかもなあ。

あるいは若い頃の利息を受け取っているのか。何の利息? わからないけど休眠口座に長年入れっぱなしになっていた愛情の利息とでも言おうか。愛情なのかなあ。そんな理性的なことばでキレイな箱に入れて飾るような感情じゃない気がする。もっとあからさまな、根源にあるもの。やっぱり本能だろうな。命を継ぐということの本能。

「今年はお盆の施餓鬼もヤメにするから帰ってこなくていいけど、またミチルちゃん(妻)と一緒に顔出してね」

オカンの声が鼓膜の奥で小さくこだましていた。


なんか夏野菜料理のあれこれチップス、じゃなかったティップスを書こうと思ったけどしんみり長くなっちゃった。

でもちょっと食い扶持のための仕事が詰まってきて、次いつ書けるかわからないので書いときます。

1)ナスの焼きびたしは天かすでこっくり!

黄色いカプレーゼ01

そういうことです。ナスの焼きびたし、揚げびたし、煮びたし、どれでもいいけど、おいしいですよね。今回は焼いたときのひと工夫。多めの油でよく焼き、しんなりしたら熱いうちにおろし生姜めんつゆに浸けるだけ、なんだけど。

黄色いカプレーゼ02

天かすを振るとよりこっくりしてパンチのある味わいに。ただしナスを揚げた場合はくどくなるので、覚悟が必要。

2)意外といける&いけない かき揚げの組み合わせ。

かき揚げ01

いろいろ野菜があるときはもうかき揚げが手っ取り早い。これからの時期暑くて揚げ物イヤになるけどまだ食欲が勝つ。

ご参考までにこないだ試しておいしかったもの、ぴんと来なかったものをご紹介。

かき揚げ03

おいしかったもの・・・カニカマ+インゲン+玉ねぎ。インゲンのシャキシャキ食感、カニカマの甘みとコクがベストマッチ。彩りもキレーイ。

かき揚げ02

ぴんと来なかったもの・・・ジャガイモ+バジル+玉ねぎ。バジルの香りが飛んじゃうのか油でマスキングされるのか、これなら大葉のほうがいいかもと思ったなあ。

3)黄色いトマトは赤いトマトの代わりにならない。

黄色いカプレーゼ06

妻の実家からもオカンからも、黄色いトマトを大小合わせてまとまった量もらった。あちこちに傷やシミのある、まさに田舎のオカンのような垢抜けないトマト。でもこういうのの方が味はかえってよかったりするのよね。

と思ったんだけど。これがなかなか。

黄色いカプレーゼ03

おもしろかろ、と思って黄色いカプレーゼにしてみた。案の定見た目はキャッチー。赤色と黄色テレコ(交互)でも映えたかもなあ。

黄色いカプレーゼ04

けど食べてみるとこれがポカンとする味。赤いトマトほど酸味とかコクがないのよね。全体にあっさりしちゃってて頼んない。

次は夏野菜カレーに入れてみた。トマトと乳脂肪はカレーの下味に欠かせないからね。

夏野菜カレー05

玉ねぎ2個を一時間ほどかけて飴色に炒めたところにニンニク、生姜、クミン、マスタードシードを入れて炒め合わせ、黄色いミニトマト(一部赤い)を入れる。

ちなみにこの日作ったのは神戸スパイスのパッケージに書かれているチキンカレー。これオススメです。大手メーカーの固形ルウよりはスパイスカレー寄りで本格的、でもスパイスから調合しなくていいのでお手軽。

夏野菜カレー06

トマトは本来のレシピではふつうサイズ一個なので同量ぐらいのミニトマトを加え、つぶれてソース状になったところにスパイス大さじ5、塩小さじ1。ちょっと炒め合わせてもっさもさになったところに鶏モモ肉2枚分を投入してからめる。

夏野菜カレー07

あれオレ今泥遊びしてんのかな、それとも左官屋さん目指してんのかなくらいにヘラが重ったるくなったら水700ml(500ぐらいでもいいですよ)を入れ、40分ほど煮込む。

夏野菜カレー08

土鍋でごはんを炊く人はこのタイミングで。こっから40分かかるからね。そんなに煮込んでスパイスの香り飛ばないの? と思うかもしれないけど心配ご無用。煮立ったらフタは開けて、かき混ぜながら煮詰めてゆく。

で、この時点で味見してみたんだけど……やっぱりどうもコクと酸味が足りない。

トマトが赤から黄色に変わるだけでこんなに違うのかとびっくり。全体に、やさすぃー味になっちゃうのよね。仕方なしにケチャップを大さじ1追加しましたとさ。

やっぱりどうやら、黄色いトマトは赤いトマトの代わりにはならないことが判明。

みんなちがって、みんないいんだけどね。

色の違いで差別しちゃダメだけどね。

4)夏野菜カレーの具は食べる直前に炒めて。

夏野菜カレー09

これもコツといえばコツかなあ。うちではカレーの野菜は別炒め、後乗せ方式が多いです。ニンジン以外だいたいそうかな。CoCo壱番屋でもやってるトッピングの感覚ですね。この方がルウはルウでシャキッと味が立って、夏野菜のほうも味がボケずに、彩りも食感もいいと思う。特に夏野菜はルウに入れて煮込むとクタクタになっちゃうし。

夏野菜カレー10

はい完成、どーん。うん、カレーは裏切らない。神戸スパイスのカレーはすっきりした辛味なので飴色玉ねぎを使ってもそこまで重い味わいにならず、夏のカレーに適してます。

夏野菜カレー04

たくさん炒めすぎた夏野菜全部乗せ。カオス。ごちそうさまでした。

以上、とりとめもなく。

どこかあなたの知らないまちで知らない誰かがせっせと食べている、どうということのない食卓の風景をお送りしました。

まだまだ生存本能の賜物は流し台にひしめいているので、今夜もモリモリ食べていくつもり。うっしゃーあ、命を受け継ぐぞー。


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