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リピート確定、サメが意外とおいしかった話。

いろいろ忙しくて、寝ている以外はほぼ働いているという著しくQOLの低い日々が続いている。少しでもポジティブでいるために愛少女ポリアンナよろしくその日の「幸せ」を反芻しては前に進む、ということを心がけてはいるのだが、こうも自分の時間が少なくなると毎日の「これができてよかったなあ」という実感のレベルも勢いダダ下がりになってしまう。温かいごはんが食べられてよかったなあ、とか、お風呂に入れてよかったなあ、という水準である。やれやれ。

まあでも何とか隙を見つけては、毎日の食卓にも変化をつけようといろいろ工夫したいとは思っていて、こないだ初めてサメを買って唐揚げにして食べたらびっくりするぐらいおいしかったのでこうして記録に残そうと思う。

関西人は基本的にサメを食べません。たぶん。

周辺海域にあんまり生息していないので水揚げされない、というような事情があるのかも知れないけど、関西にはパッと思いつく限りサメを食べるという食文化が定着していない。けれども個人的には機会があったら味見ぐらいはしてみたいとつねづねぼんやり思ってはいたところがある。すると先日、近所のイオンで宮城産のモウカザメが特売されているところに遭遇。売り場にでーんとサメの頭を「JAWS」のポスターみたいに置いて、その前に切り身一切れ98円という破格で売っていたのである。初めてモウカザメのご尊顔を拝した感想としてはまあまあつぶらな瞳をしてらっしゃって、わりと深いところに棲んでいるのかなっていう印象を受けた。

あんまり魚類に詳しくないので、サメとかエイとかあのへんのぬるっとした人たちをなんか一緒くたにとらえている節があって、アンモニア臭かったりするのではあるまいかと一瞬怯んだが、ポップにも「臭みゼロ、淡白な味」と書かれており、売り場のお姉さんも「竜田揚げにするとおいしいですよ」と満面の笑みでオススメしてくれたので、ここはひとつものは試しと購入に踏み切った。

濃いめのタレでさっと味つけして揚げるべし!

サメカラ03

切り身はぷるんとしていて水分が多そう。他のどの魚とも似ていない。インターネットの有料レシピサイトで検索すると、やっぱり水分が多いので、あまり長時間調味液に漬け込むと身から水分が出ちゃって固くなるらしい。

サメカラ04

さっと塩コショウして、生姜醤油に漬け込むことおよそ10分。片栗粉を入れたビニール袋でシャカシャカして衣をまぶし、揚げていく。経験的に魚類は動物よりも揚げたときに火が通りやすいので、大きめの塊でも一度揚げで大丈夫だろうと判断。

サメカラ05

ユニークだけど、個性派じゃない。すぐ親しめる味!

サメカラ06

果たして味のほどは? と揚げたてを口に放り込むやいなや「何コレ!? うっま!」と叫んでしまった。売り場のポップに書かれていたとおり、クセも匂いもなく淡白で、しかしお魚系のうまみはきっちりある。これはおいしいぞー。漬け込み時間を短くしたおかげか心配したほど身は縮んでおらず、カツオなんかに似た凝縮感のある食感だけどそこまでパサパサしていない。

サメカラ07

なんでしょうかね、初めて食べる風味と食感なんだけど、これまで食べてきたお魚さんたちのおいしさのマップ分布からあまり離れていないというか。地図に例えると、初めて出会う人なんだけど今まで行ったことがないほど遠くから来たわけではなくて、ふだん気にせず通っている路地の、見落としがちな隅っこに暮らしていて、教えられて初めて「ここに扉がありましたか! へえ〜」ってなるような味わい。わかりにくいですかそうですか。新奇な要素がないからスッと抵抗なく食べられるということです。

しかし、おなじみ感はあるのに、同時にそこを攻めますかというニッチな存在感もあるので、「ふーん、サメねえ。おいしいけど無理して食べなくても、他のお魚を食べるからいいやあ」とは今後もならなさそうで、ぜひまた食べたいなと強く思う次第。

調べるとやっぱり宮城の人たちとかはよく食べているらしくて、日本の食文化って幅広いなあとしみじみ思った食卓でした。

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