黒猫さまと初めてのお使い
青山霊園の桜並木はすでに花を散らしていました。駐車場の少し日陰になったコンクリートの上で三毛猫と黒猫、ぶち猫の三匹がじゃれあっています。そのうちの黒猫が右肩に大けがをしていました。赤い肉がむき出しになって血が滲んでいるようです。
「ねえ、肩の傷どうしたの。三人でケンカでもしたの?」
黒猫はちらりと私の方に目をやると、だるそうに身を横たえて肩の傷をなめています。
毛並みはとてもつやつやしていて美しいので、誰かに飼われているのか、それとも霊園事務所の人などが面倒を見ている地域猫な