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スパビーの北条明は何故男のフリをしていたのか20年ぶりに考えた

幼い頃、コロコロコミックで連載していた爆球連発!!スーパービーダマンという漫画が死ぬほど好きでした。連載開始時は5歳でしたがバッチリ覚えています。生まれて初めてハマった漫画でしたね。玩具も確か全機体を兄がそろえていたはずです。

それを最近電子書籍で全巻再購入して思い出に浸っているのですが、私が当時どうしても腑に落ちなかった事が1点あります。北条明は何故男のフリをしていたのか?それを今再燃の勢いに任せて書いてみたいと思います。


北条明とは?

北条明(ほうじょう あきら)とはビーダマンの地区大会決勝戦で主人公チームが戦う敵チームのメンバーです。

敵チームのリーダー伊集院くんの幼馴染で女の子なのですが、主人公チームのメンバーであるサラーくんが気付くまでずっと男の子だと読者からも敵チーム以外の登場人物からも(おそらく)思われていました。そもそも大会参加者は男の子が圧倒的に多いし喋り方も男の子っぽく服装もチームでお揃いだったためでしょう。

でも本来の喋り方や表情は大変女の子っぽい子です。大会では意図的に男の子っぽく振舞ってます。

ちなみに愛機ユンカーユニコーンはその見た目のかっこよさとは裏腹に、現実だとちょっと下に傾けただけで発射口からビー玉が零れ落ちてしまうという致命的残念ポイントがあることで有名です。



因縁

彼女について書くには、伊集院くんとサラーくんの因縁について書かないといけません。

伊集院くんは、他人のビーダマンを壊すわ他人を裏切り利用するわ勝利に固執しまくるわのかなり気合入った悪役です。超悪質です。でも、そんな彼ももともとは明るく信頼され自信にあふれていました。さわやかイケメンでした。

彼はさわやかイケメンだった頃テニスをしており全日本ジュニアベスト4に入る実力者でした。そんな彼の学校に留学生としてサラーくんが転校してきます。実はサラーくんもテニスの実力者でなんと伊集院くんを負かします。伊集院くんは身近にライバルができたことを喜び猛特訓をしサラーくんに再挑戦します。

しかし再戦のさなか、伊集院くんがケガをしてしまいます。頭から血をダラダラ流しながらも伊集院くんは試合を続けようとしますがサラーくんは「足をくじいたようだ」と言って自ら負けを宣言し試合を終わらせてしまいました。

猛特訓して再挑戦したのに最後まで戦わせて貰えなかった、全力を出して貰えなかった。屈辱と怒りから人格が豹変します。黒髪が白髪になるほどのショックを受けます。北条さん曰く、「プライドをズタズタにされた男が血の涙を流していた」そうです。


その後彼は取り巻きを使ってサラーくんをいじめさせる始末(尚、サラーくんもこのイジメにより、主人公と出会って変わるまで超病みます)。

外面だけは良いものの、体中から湧き上がってくる怒りをどうすることもできずに全てのものに牙を剥くようになります。ビーダマンを始めてからも同じでした。



大会への参加

人格豹変してしまった伊集院くんですが、北条さんはそんな彼を守ろうとします。「わたしは伊集院の親友だ!!かれが内にためこんだいかりをすべてはき出し、落ちつきを取りもどすまで守り続ける!!たとえ、すべての人間を敵にまわしても!!」とのことです。

事実、彼女は文字通り身を挺して主人公のパワーショットから彼を守ったりしてます(体について回るターゲットをビー玉で打たれたら失格的なルールです)。


とまあ、北条さんが伊集院くんを守りたいことと大会へ参加した動機は分かるのですが、じゃあなんで男のフリをする必要があるの??というのが当時疑問でした。

小学生ですし、女だと舐められるとかそういう理由かなと思っていたのですが腑に落ちていませんでした。

すごい大人の事情的な話だと、当時アニメが始まるまで女の子キャラを出さないようにと編集から指示があったらしいのですが、まあそれはそれとしてキャラの内的な部分は何かってことですよ。



男と女について

私は、行動は男だが動機が女であるからだと考えています。

伊集院くんは最終的にケガをしてでも全力で主人公と戦い負けることで正気を取り戻しています。

そもそも彼が人格豹変したのは、「男の戦いができなかったから」だと思うんですよね。サラーくんは「かつてのぼくは、本当の男の魂というものを理解していなかった」と言っています。

北条さんも、伊集院くんが元に戻るには、もう一度ちゃんと男の戦いをする必要があるとなんとなく感じていたんじゃないかと思うんですよ。

男の戦いとは、

・どんな相手でも互いに最後まで全力を出すこと

・ルールを守ること

・結果をきちんと受け入れること

あたりですかね。

そして、本来男の戦いは女性であっても可能です。のちに全国大会で真鈴ちゃんという女の子ビーダーが出てきますが彼女は男の戦いをやっていたと思います。それは真鈴ちゃんが純粋にビーダマンバトルを、競技をしに全国大会に参加していたからです。

しかし、北条さんの場合、彼女自身がビーダマンバトルをしたかったから大会に出たのではなく伊集院くんを守りたいから大会に出たのではないでしょうか。これってかなりだと思うんですよね。女の子ではありません。女です。

試合終盤、伊集院くんが負けそうになると彼のプライドを守るためわざと反則をして試合を止めようとしたり、指を骨折しながら凄い形相で戦う伊集院くんを見ていられなくなってしまったり、土壇場で完全に女になってました。

意識して男っぽく振舞っていないと女の部分が出てきてしまうと言いますか、戦うという本来男的な行動をするのに精神の根幹が女であるからそれを抑える意味があったんじゃないかと思います。


真鈴ちゃんは女の子ですが動機も行動も男(強い奴と正々堂々バトルがしたい!だから大会参加する!)なので、あえて男っぽく振舞う必要はありません。しかし北条さんは動機が女で行動が男(伊集院くんを守りたい!だから大会参加する!)であるため、態度や外面を男っぽくして無意識にでも女の部分を隠す必要があったんじゃないかと。



男と男の子

この作品、もしかして意図的に描いてる?と思うくらい「男」って単語が出てくるんですよね。第一話の一ページ目から「男」って出てきます。

そして主人公はじめ、ほぼ全てのキャラクターがです。小学生キャラが圧倒的に多く、年齢的には男の子ですがその精神は皆、男です。勝負に負けたらビー玉や居場所等大切なものを奪われることもありますが、それを受け入れてます。男の魂が鎬を削り合ってるんですこの作品。読者は皆そこに惚れたでしょ!?私は惚れました!!



まさか30歳を超えてコロコロコミックの漫画について語るとは思いませんでしたが、ビー魂が燃えてしまったので仕方ありません。







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