写真を見返しても泣けなくなったぼく
写真を見返しても泣けなくなったぼく。
写真を見るたびに泣いていたぼくからすると、それは憧れのぼくだった。
はずだったけど、なんだか受け入れ難かった。
そして本棚の奥に押し込めていた一冊のノートを取り出した。
ぼくが高校生のとき、誰にも話せなかった思いを綴って、綴って、綴りまくったオレンジのノート。
ぼくは買う前からそのノートが忘れられないノートになることをわかっていたから、蔦屋でちょっと高めのやつを選んだのを覚えてる。
ひとりで黒歴史暴露大会してるのかというくらいに、見たくない過去を見つめ直しながら、ぶちまけていた。
ノートの前半は中学生のころの苦しくて、でも誰にも話せなかった記憶が書かれていた。
そう言えばあのノートを買ってそのことを書いている時、ぼくには付き合っている大好きな人がいた。
ぼくはその子に、中学生のときのぼくの話を初めて話すことができた。
だけどやっぱり話すとなると思ったより上手く話せなくて、ノートに書くことにした。
あの時はゆっくり喋って10分くらいで終わってしまった話を、ノートには読むのに1時間くらいかかる量で書いていた。
毎晩5ページづつくらい書いていた気がする。
思い出せることは全部書く勢いで書いた。
すっかり忘れてしまったら、ぼくが経験した苦しさが無駄になってしまうような気がして。
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