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涙のクリスマス


 

「おべんとうの時間」という、普通に暮らす人たちのお弁当を通して、その人たちをひも解くシリーズ本がある。それをずっと読んでいて、クリスマスの日に読み終わった。
 温かい文章、何気ない表情を捉えた写真……その奥に「家族」が見えた気がして、覚えず、涙があふれてきた。家族っていいな、と思った。

 クリスマスにかけて、映画を二つ見た。
 一つは杉咲花主演の「市子」。ざっくりいうと、同棲している若い男女がいて、男がプロポーズした翌日、女(演:杉咲花)が急にいなくなってしまう話。
 これを見ていたら、ぽろぽろと泣けた。家族って難しいなと思った。
 どうして自分はこんなにも映画に魅せられるのだろうとも考えた。
 それにしても、杉咲花の演技が本当に良かった。

 もう一つはSPY×FAMILY。上映に際しては子供から大人まで幅広い世代がスクリーンに向かい、そこで僕は、コロコロ表情が変わるアーニャに対して笑い声を上げる子供たちを初めて目の当たりにした。
 大人だけじゃなくて、子供の心もこれだけつかんでいるのか。
 アーニャの偉大さに泣いた。
 SPY×FAMILYもタイトルのように、特別な形ではあるけど「家族」の物語だ。ああやって手を取り合える瞬間があって、素敵な家族かもしれないと感じた。

 クリスマスと家族。子供の頃は親と弟と一緒においしいものを食べ、プレゼントに喜んだ。
 一人で過ごしたクリスマスも嫌ということはないが、街を歩きながら、浮き立つ様子の人たちを見ると、やっぱり誰かと過ごせば良かったかなと、一抹の後悔が訪れる。

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