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二人旅

田舎に住んでいる私は、普段から自然と触れ合っているはずなのに、何故だか更にもっと壮大な自然を求めてしまう。

空気の蒼さを肌で感じたい。
森の香りを胸一杯吸い込みたい。
鳥のさえずりを聴いていたい。
最高のヒーリングのはず!

常々上高地周辺に行きたいと思っているのだが、田舎に住んでいても欲するのは、やはり別次元の美しさがあるからかしら?

そんなことを思っていた先日、急遽夫婦で旅行に出かけることになった。

最近は何もしたくなくて、上げ膳据え膳で美味しいものを食べ、温泉でのんびりしたい。という欲求ばかり。若い頃はおしゃれなペンションに泊まるのにとても憧れていたが、もうそんな気持ちはすっかり鳴りを潜めてしまっている。
今はとりあえず、宿に着いたらゆったりのんびりすごしたいんだもの。
はじめは絶対和室と決めていたが、調べるうちに洋室には露天風呂がついているらしいことがわかった。
さあ、和室と洋室の露天風呂付き、どちらを選ぶ?
悩む…
結局、部屋に露天風呂がついているプランに決定!

          ♨♨♨

夫は行ったところのないところがいいのでは?と言ったけど、私は若い頃よく行った懐かしの旅路をもう一度旅してみたかったので、なんとか誘導してみる。
ロープウェイの近くに宿をとり、初日はまず、白馬村経由でそれこそ行ったことのない松本城に行こうと提案した。
まあまあの長距離行程となるけれど、一般道は私が運転するということでひとまずOK。

白馬と奥飛騨は県も違うし、決して近くはない。
しかしもちろん、ここだけの話、白馬、馬。
馬といえば『春馬』。
か?
白馬岳が望めたら、春馬さんに逢えたようなものだし?(意味不明なこじつけだな)

ごめんね、お父さん。とても安易な考えなんです。

ただそれだけの為だったが、昔スキーで行ったこともある白馬村を夫が怪しむ訳でもなく、すんなり希望は受け入れられた。 

ただし、天気が良ければの話。雨降りともなれば、遠回りしていく理由がないので、その日まで天気予報とにらめっこして、天に祈る毎日を過ごした。

🚗💨🚗💨🚗💨

当日は、旅先の雨は午後から止むとの予報を信じ予定通り出発。途中、大粒の雨に降られたりしたが、走り進めるうちに雨は上がり、白馬村は曇り空だが降っていなかった。よかった〜。
以前は雨女の私だったが、近頃はお天気に恵まれていてハレマ(春馬)に守られているとつくづく感じているので、根拠のない自信がある。ただ、雨上がりの為山頂は雲で覆われ、残念ながら白馬岳を眺める事はできなかった。

八方尾根は残念ながら雲の中
遠くに五輪のスキージャンプ台が見える

スキーツアーで結婚前に夫と来たことがあるけど(昔はスキーツアーがとても流行ったんです)遙か前のこと。しかも雪景色とは異なる。夫はバイクでも来たことがあるらしくて、お互いに
「え?こんなんだったっけ?」 
「もう、忘れちゃたね」
「確かにこんなだった」(←ほんとかぁ?)
「そっか、そっか」
を連発。

お昼は道中で信州そばをいただき、引き続き松本城ヘ車を走らせた。
その土地の街並み、家構えを観ながらのドライブはとても楽しい。

途中、ある建物の門扉のオブジェに白馬の像があった!しかし春馬さんを理由に、車を止めて白馬像の写真を撮るわけにもいかず、素知らぬ顔をして通り過ぎることにした。内心残念で仕方がない。

🏯🏯🏯

松本市内に到着し、少しばかり歩くと、それは街の中に突如として現れた。

国宝 松本城(深志城)

公式には黒鷺城、烏城ではないらしい。
黒塗りでとてもカッコいい!

向かって右手にあるのが月見櫓。皆で月を愛でるなんて優雅で風情があることか。
昔は街の灯りなどないに等しかっただろうから、暗闇で月や星を愛でるのは当たり前の娯楽の一つだったのだろうし、今とは比べ物にならないほど奇麗に見えたに違いない。

城内は、涼しくひんやりとしていた。
お堀から上がってくる風がなんともいえず涼やかで心地よい。
階段の傾斜なんかも階により違っていて、その時代の思慮深さが伺える。
一番上の階からは、天気がよければ、四方からアルプスの山々が一望できるのだか、残念ながらこの日は全てを望むことはできなかった。

庭園から松本城

さて、そして宿へ向かうのだが、一般道で2時間ちょっとかかる。
「運転しようか?」
「いや、いいわ」
実は一般道は私が運転との予定はなんとやら、先程ちょっとだけ運転を代わった時に、夫はどうやら怖い思いをしたようだ…

          ☂☂☂

途中から、本降りになった。
宿につく頃にはあがるかも?とは考えが甘く、全く止まなかった。
むしろ酷くなる気配…

まあ、明日には晴れるでしょ?
私にはハレマ(春馬)がついているから。

          ♨♨♨

部屋のテラスから。ガスがかかってます。
緑が濃い。

無事に宿についたが雨は止まず。
でも硫黄の匂いがして、温泉の雰囲気をより高めている。
ワクワクしてきた〜。
部屋のテラスには露天風呂がありテンションは上げ⤴上げ⤴MAX。
さあ、どうする?

普段何もしない時間はないに等しいので、時間の使い方がわからない💦

とりあえず温泉だよね。ということで大浴場へ。

コロナ禍もあり、食事の時間や入浴の時間が決められているので、先に入浴をすることになった。部屋に露天風呂はあるが、まずは大浴場へ行ってみる。
大浴場にも広い露天風呂があった。しかも、私を含め3人だけしかいなかった。ほぼ貸し切り状態で、内湯に入ったり、源泉かけ流しの硫黄泉の濁りのある露天風呂に入ったり、雨は降っていてもそれがまた乙。

男風呂の大浴場は完全に夫の貸切状態だったらしくあとで、小鼻を膨らませて教えてくれた。

🍶🍶🍶

お風呂から上がったら次はいよいよ上げ膳据え膳の食事タイム。これも楽しみの一つ。
これまた最高のフルコースメニューと日本酒に舌鼓を打つ。

この地方でしか味わえない日本酒をいただきました。

山の幸、川の幸、飛騨牛三昧、豪華な夕食をゆっくり味わった。
スタッフさんがまた可愛らしい。息子ほどの年齢かな?
一生懸命お世話してくれた。可愛らしい。
ありがとう!

夫と二人、こんなにもゆっくり過ごした時はあっただろうか?恐らく初めてだ。
新婚旅行の時とはまた違って、不思議な感情が湧いてきた。
お腹いっぱい、胸いっぱい。
ごちそうさまでした。

          ♨♨♨

さてさてお部屋にもどり、今度は部屋の露天風呂に入ることにした。露天風呂に入れば少しは満腹も治るかな?

大浴場とはまた違ったよさがあり、硫黄の匂いが立ち込める露天風呂は最高だった。雨が降っていても雰囲気に酔いしれる。
寒くないこの季節には丁度よいお湯加減。半身浴でもちょうどよい。
明日の朝も入ろう! 

朝になるとすっかり雨は上がり快晴だった。昨日は雨降りでよくわからなかった山の稜線がくっきり見えた。

雲ひとつない空
源泉かけ流し

早朝の清々しい空気を味わいながら、最後の露天風呂へ。
日頃の鬱蒼とした心が洗われるようだった。

🚠🚠🚠

二日目は、ロープウェイに乗ると決めていたので、
我が家の夕食より豪華な朝食を済ませ、身支度を整えて乗り場へ急いだ。
すでに登山客やら観光客やら、多くの人が並んでいて、どうやら出遅れたようだった。

第1ロープウェイ、2階建ての第2ロープウェイと2本乗り継いで展望台に行くのだが、鉄塔部分に差しかかるとそれはそれは恐ろしい。
一瞬ふわっと宙に浮き、箱がゆらゆら揺れるのだ。
足が地につかないということはこんなにも恐怖なのか!
スキーのリフトもこんなだったのかな。忘れてしまっている?
飛行機より恐ろしいかもしれない。
何回か繰り返したが、最後まで慣れることはなかった。

雲が下に見える高さに

だんだん今いたところが遥か下方になり、米粒になっていくそして反対に山々が迫ってくる。少し雲があるけれど、上では雲が晴れますように…

麓は米粒

残念ながら、展望台では雲が晴れたのは一瞬で、あとは雲で隠れてしまった。でもお天気は良かったから、よしとしよう!

夫は久しくしていなかった趣味の登山に火がついて、あー登りたい!と隣で連呼していた。一緒の登山は、私には体力的にとてももう無理だ。トレッキング程度ならぜひお供します!

焼岳も雲に隠れる!残念

雲は晴れないが、天気がいいから下に降りて上高地に行こう!
ということになり、それからすぐに上高地を目指すことにした。

キャー!!最高の旅じゃない!?

こういう時のフットワークは軽いもんだ。素早く行動できる私。
平湯から上高地行きのバスに乗換えて、帝国ホテル前で下車。うぐいすが彼方此方で鳴いている中、河童橋まで歩いた。
梓川は相変わらず驚くほどの美しさのままで、何度来ても感嘆する。

水はとても冷たく澄んでいる
ずっと眺めていられる風景

思ったほど人もいなくて、散策にはもってこいのお天気だった。程よい気温。

河童橋で撮った夫の写真があったので、遠目からなら春馬さんに似ている部分があるかと見返したが、全く及ばず。脚の長さ足りず。似ているのは肩幅ぐらいか?そして何を隠そう義父にそっくりだった(笑)

私も撮ってもらったが、悲しいかな何処かのおばさんが写っているだけだった(笑)

お互いに歳を重ねました。

湿地帯近くから明神岳をパシャリ

少し周辺を散策して、自然のエネルギーを身体中で感じ取り、英気を養うことができた。川魚がいたりサルノコシカケを見つけたり、木漏れ日の美しさを実感したり。

複数のお猿さんが休めるくらいのサルノコシカケ
透明度が半端ない✨

約2時間程度の限られた時間での散策だったが、充分過ぎるほど贅沢な時間を満喫できた。

🌲🌲🌲

帰路にはまた3時間程かかるため、名残惜しいが奥飛騨を後にしたが、約20年程通らない間に、途中で終わっていた未完成の道路は完成して、交通の便は格段に良くなっていた。
そして、かつて店があった場所は廃墟になったり知らない店に生まれ変わったりと、改めて年月の長さを実感した。

ハレマ(春馬)のお陰か?お天気にも恵まれ、充実した濃厚な二日間の夫婦二人旅は、去年銀婚式を迎えることができた私達夫婦の、大切な記念になった。

また、二人旅がしたいなあ。
これでまた一生懸命頑張れそう。

ありがとう、お父さん。
また行きましょう。



















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