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場面緘黙症について

場面緘黙症とは

 場面緘黙症とは、他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況(例:保育園、学校、職場など)において話すことが一貫してできない状態のことを指し、不安症のひとつに分類されています。幼稚園や保育園に入園する頃に発症するケースが多いです。人見知りやただの恥ずかしがりやとは違います。話せないだけではなく、表情がだせない、過緊張で行動が抑制されて固まってしまう緘動と呼ばれる症状が出ることもあります。多くの場合は自宅では話せるけど学校では話せないというケースが多いですが、自宅でも自宅外でも話せない全緘黙という状態の方もおられます。
 場面緘黙症は適切な支援があれば治ると考えられています。しかし、学校生活において問題行為を起こすこともなく目立たないため、適切な支援がなされず症状が長引くケースもあります。SNSの普及もあり、ここ数年で場面緘黙症の認知度もだいぶ広がってきましたが、以前までは認知度が非常に低く、当事者自身も大人になって初めて知ったというケースが非常に多く存在しています。

診断基準

DSMー5(アメリカ精神医学会の診断分類)では選択性緘黙と記載されています。

  • 他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況(例:学校)において、話すことが一貫してできない。

  • その障害が、学業上、職業上の成績、または対人的コミュニケーションを妨げている。

  • その障害の持続期間は、少なくとも1ヶ月(学校の最初の1ヶ月だけに限定されない)である。

  • 話すことができないことは、その社会的状況で要求される話し言葉の知識、または話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない。

  • その障害はコミュニケーション症(例:小児期発症流暢症)ではうまく説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない。

場面緘黙症で受けやすい誤解

少し話せる場面緘黙の子は、重度の子以上に理解されにくいようです。誤解されやすい内容にはこんなものがあります。
①少し話せるので場面緘黙ではない
②大人しいだけなので、放っておいてもそのうちしゃべるようになる
③母親の心配しすぎでわがままなだけ
④愛情不足・甘やかしすぎ、過保護・しつけがなっていない
⑤わざとだまっている
⑥自分から友だちの輪の中に入るよう努力すべき
⑦一人でいても平気そうだから無視していい
⑧うなずきや首振り、筆談を許していたら、甘やかしになる
⑨話すように言うべき。特別扱いしてはいけない
金原洋治.高木潤野.子どもの場面緘黙サポートガイド アセスメントと早期対応のための50の指針:
合同出版.2018.p10

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