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劇団金馬車『ネイティブバラエティ!』を見た #卒論の息抜き

内定先の先輩が、演出・脚本を手がけるというので、舞台を観てきた。

映画や舞台はもっぱらミーハーで、劇団四季のアラジンとかライオンキングとか、映画だったらララランドとか、そういうものにしか普段足を運ばないので、どういうものかも想像出来ないまま観に行った。

想像を超えに超えて、とーっっても面白かった!!ので、(卒論を書く、とかそういうことしているとアンテナが高く張られるのかもしれない)また、備忘録として。

舞台なんて全く詳しくなくて、評論、みたいなことは出来ないので、自分の感じたことを忘れないうちに…。

みんなちがって、みんないい?

ド田舎“タビ村”で育った最強メンツたちは、個性と自由を求めて"東京”へ旅立った。
10年後、ある人物の死をきっかけに、再び集まったかつての最強メンツたち。
でもなんか違和感。てんで会話がかみ合わない。
「もう、別々の人生歩んじゃったからね。」
自由と連帯の狭間で、彼らが見つけたものとは――。
劇団金馬車『ネイティブバラエティ!』ホームページより

ド田舎のタビ村から出てきた最強メンツ、5人はそれぞれ別の道に進む。でもそれは、いわゆる「あいつ、昔は一緒に音楽やろうぜって言ってたけど結局2人とも今会社員だな…(夕陽)」っていうやつではない。

たしかに、進路がいつの間にか異なるという点ではそういうのと同じなのかもしれないけれど、“なんか違和感”の正体は、「みんなちがって、みんないい」世界がいい、それならば世界一人ひとりがバラバラな世界に住んで、それぞれが主人公になる世界を作ってしまおう!と企てられていること。でも、その世界をつくるのに、色々と途中で歪みが生じてしまったりする。

「みんなちがって、みんないい」とは、個人一人ひとりがバラバラの世界、なのか?

今、舞台の中の世界と同じで、一人ひとりがその人らしく生きていくこと、「自分の人生は自分で決められる」「自分がやりたいことで自己実現を!」というメッセージがあふれる世の中だ。しかし果たして、それを突き詰めた先は、バラバラなのか?

それを想像すると強烈な違和感がある。私はとくに、例えば就活をしていて「あなたは何をやりたいの?」と聞かれても、やりたいこと、って…っていう感じで、具体的に浮かぶタイプではなかったから、なおさら、人間一人ひとりのその人らしく、を突き詰めると、私だけが主人公のバラバラの世界、というのはすごく怖いし想像しづらい。

劇では、やはり最後に、そのバラバラを繋ぐ人がいて、みんなの繋がりを感じられる場所がある。 一人ひとりが主人公でいられるし(だからといって全員がドラマのヒーロー的な「主人公」ではないし)、だけどそれとバラバラ、は全く違うことだから「個人」ということばにそんな寂しいひとりぼっちなイメージは載せなくていいんだな、と考えさせられた。

舞台の上で、時間軸と空間軸がはらりはらりと移り変わってゆく!

舞台をこんなに近くで見るのが、初めてだったので。

映画のようにパッと視点や風景が変わるわけでもない、むしろ会場は小さな箱のような感じなので背景は基本的に変わらない、劇団四季のように大きな緞帳や小道具があるわけではない。それなのに!

照明や、役者さんの演技、音楽、はさむ映像で、アニメでかわいいキャラがなんか説明挟む(のだめのマングース的なやつ)的なシーンと、映画ではらりはらりとシーンが切り替わるような瞬間も表現されていて、時間軸と空間軸が変わるのはすごく新鮮だった。

サムい曲が、なぜか最後愛しくなる、感情の変化

最初は「えっ、ついて行けるかな私…」となるようなサムい曲とともに、田舎のマイルドヤンキーがあらわれて、正直びっくりする。衣装はジャージで、中学生くらいの設定なので、かわいい歌を歌いながら急にダンスから始まるし、それなのに役者さんの表情はもちろん本気なのでちぐはぐ(笑)。強烈な世界に入り込んでしまった…という感覚に襲われながらの幕開け。

が、しかし!
最初はそう感じていたのに、最後に、最初と同じ曲とダンスが流れると、小さい頃見てたアニメの最終回を見るときみたいな、明るい曲が流れてるのに「あ〜終わっちゃうのね〜〜」っていう切なさと登場人物への愛着みたいなのが湧いてきて、自分の感情の変化にびっくり。

あの強烈な幕開けから、物語が進むにつれて発生する色んな不可解なことを登場人物といっしょに考えていく感覚でいられて、それが最後に色んな謎が解けていくときに、なんだかもう最初の「え、ついていけないかも…」の感情なんて忘れていたと思う。いっきに伏線が回収される爽快感の方が断然大きくて、後味がすごく良かった。気持ちいい、感情の変化だったなあ。

アンテナを張っているときの情報は面白い

急に映画を見たり、舞台を見たり、書き残し始めたりと、急発進しているわけだけど、正直これは「卒論の〆切目前にして、卒論以外のことがしたくてたまらない」っていう感情からくるものだと思っている。(テスト前に部屋の掃除がしたくなるのとまったく同じ)

しかし一方で、卒論執筆という強烈なインプットを繰り返す日々なので、いつもとちょっと違う自分のアンテナが張ってあって、それで出会うものはなかなか面白くて結構好き!

細く長く、続けばいいのだけど…(笑)。卒論に戻ろう…。

(トップの写真は『ネイティブバラエティ!』公式ページより)

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