電気屋ロマンス
冷蔵庫の買い替えのため、某電気屋に行った。
電気屋に1人で行くのは初めてで、買う気満々だったため、少し緊張していた。
家電を自分の意思で購入した経験などなかった。
エスカレーターを登って冷蔵庫コーナーはどこだろうとうろうろして、こういうときは、、!とひらめき、上を見た。
100均でもスーパーでも大体上を見るとコーナー名が書いてある。
目線を変えてみると探し物が見つかる。
"冷蔵庫"
私のひらめき通り、冷蔵庫コーナーを見つけることができた。
様々な冷蔵庫がずらーっと並んでいて、正直どれも同じに見えた。
とりあえず、1人〜2人用の冷蔵庫を攻めていく。
冷凍庫オンリーのものと大変見た目が良く似ているため注意して見ていく。
冷凍庫の広さ、上に電子レンジは置けるか、
中身の感じ、どちらから開けるタイプのドアなのか。
それと価格。
冷蔵庫をがちゃがちゃ開けながらぐるぐる冷蔵庫周辺を歩いていると、
「冷蔵庫お探しですか?」
と声をかけられた。
大体服屋で声をかけられたときは本当に買う気がないことが多いので、愛想笑いで適当な返事をするが、
今日は買う気だったし、なんなら家電は専門の人に聞いたほうが確実にいいと思った。
声をかけていただいたことは好都合だった。
「はい。一人暮らし用なんですけど…。」
「あ、自分も一人暮らしなんです。」
頭上から降ってくる声に反応するために顔を上げると、久々の衝撃を感じた。
自分と同じ年くらいの人が働いてる!仲間かも!
店員さんと話しながら冷蔵庫周辺をぐるぐるしていく。
料理はしますか?
こっちは安いけど、こっちのほうがいいかもしれない、ちょっと値段出してみますね、
あー、それならこれ以下の値段で頑張りたいですね。
一人暮らしってなにかと大変ですよね、わかります。
私はこの人から買おうと心に決めた。
なんなら一緒に冷蔵庫を決めているとき、
冷蔵庫選びデートをしている気分になった。
プライベートの話もそこそこはずむし、
少し茶色が混じった髪に爽やかな顔立ち、
私の15cmくらい上から降ってくる心地よい声。
仕事帰り、ほぼすっぴんにあってないような前髪できてしまったことを心底後悔しながら、必死で前髪を手ぐしで直す。
よかった、私の乙女心はまだ生きていた。
何より自分のために頑張ってくれている!という
最近感じたことのない気持ちを感じさせてくれたこと。
タブレットで必死に値段を交渉してくれる彼の話をもっと聞きたいと思った。
無事冷蔵庫が決まり、後は会計だけ。
「お仕事大変ですか?」
「そうですね、始めたばかりなので…」
「え、おいくつですか?」
年齢を言うと、年上だ…!とおどろかれた。
「自分、18なんですよ。」
…18!?
18でこんなにしっかり働いてるの!?
私18歳とデート気分味わってたの!?
「ええ!若い!お仕事頑張ってください!」
本気の頑張れを言うのは久々だった。
ありがとうございます、と言った彼の笑顔も素敵だった。
最後に名刺をいただいた。
会計が終わってエスカレーターを降りる直前、名刺をちらっと見て、プライベートの電話番号書いてないかなーと期待してしまうほどだった。
ちゃんと書いていなかった。
そもそも、相手が話しかけてくれたのは仕事だから!と帰り道言い聞かせた。
あやうく勘違いブスになるところだった。
まだただのブスで踏みとどまれている。
彼の頑張りのおかげでとてもお得に冷蔵庫を買うことができた。
私が冷蔵庫を買ったことによって、彼の株が少しでも上がっていたら嬉しいな。
それでは。
見つけてくださり、読んでいただき、
ありがとうございました。
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